大鳴門橋へ日が沈む丘の上、時計も予定も手放して過ごす休日。
神戸淡路鳴門自動車道を南へ、淡路島南ICから約10分。坂道を上ると崖の上に白い建物が現れます。鳴門海峡と大鳴門橋を見渡す高台のグランドメルキュール淡路島リゾート&スパは、2024年、アコーの上級ブランドとして生まれ変わった温泉リゾート。夕朝食もラウンジのお酒も温泉も宿泊料金に含まれる、オールインクルーシブのプランが滞在の骨格です。
——チェックインを済ませたら、あとは何も決めなくていい。そんな滞在を叶えてくれる一軒を、私が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在して感じたブランドの空気に、公式情報と滞在した人々の声を重ねながら、ひとつずつ紐解いていきます。
「なにも決めない」が今日いちばんの予定になる、オールインクルーシブ

旅先で意外と疲れるのは、選ぶことと決めることの連続です。夕食はどこで、飲み物はどうして——その段取りを繰り返すうちに、休むために来たはずの頭が働きどおしになってしまいます。
この宿のオールインクルーシブプランは、その段取りを最初に終わらせてしまう仕組みです。宿泊料金に夕食と朝食、ラウンジでのドリンクやおつまみ、温泉、館内アクティビティまでが含まれ、滞在中は気の向くままに過ごせます。一部の特別メニューや体験、ショップでの買い物は対象外で、ランチの提供はありません。
公式サイト予約なら、0歳から6歳までの添い寝のお子さまは宿泊も食事も無料。連泊しても同じ内容で過ごせるので、島時間に身体を慣らしていく2泊目こそ、この仕組みの真価が見えてくるはずです。食事の有無はプランによって異なるため、予約時にプラン内容をご確認ください。
名前は変わっても眺めはそのまま、丘の上のホテルが重ねた歳月

この建物には、長い歳月が刻まれています。1988年6月竣工、新耐震基準で建てられたY字型の館は、鳴門海峡を望む温泉リゾートとして長く親しまれてきました。2024年、世界的ホスピタリティグループ・アコーが展開する「グランドメルキュール」の一軒として新たな歩みを始め、客室のリニューアルも段階的に進んでいます。
名前が変わっても、鳴門海峡へ開けた高台の立地はそのまま。海抜約60mの丘は、南あわじ市の津波浸水想定区域にも当てはまらない、安心して籠れる場所です。瀬戸内海国立公園のなかにあり、環境認証「グリーン・グローブ」も取得しています。
海側か山側か、それとも畳の上か、三つの系統から選ぶ客室

客室はSUPERIOR、STANDARD、CLASSICの3系統。それぞれの成り立ちを、公式は驚くほど正直に説明しています。2024年4月にリニューアルされたスーペリアツインは、バスとトイレが独立した現代的なつくりで、海側と山側から選べます。
2013年リニューアルのスタンダードツインは、エーゲ海の町並みをイメージした白と青の「地中海風」。クラシックは創業時からの客室に修繕を重ねた、3点ユニットバスの系統です。
主な客室は35㎡と、家族での滞在にゆとりのある広さ。エキストラベッドに対応する部屋や、布団で寝られる和室・和洋室も揃います。エレベーターからいちばん離れた角に位置する23㎡のコーナーツイン、和室からは海が望めないことまで公式が開示しているので、予約前に性格を見比べて選べる宿です。
赤ちゃんの旅支度が、ほとんどいらない部屋

小さな子どもとの旅は、荷物の多さとの戦いでもあります。この宿のベビールームは、その荷物を現地に置いておいてくれる部屋です。哺乳瓶消毒兼用の調乳ポッド、電子レンジ、ベッドガード、補助便座、新生児用の爪切り、ベビー用泡ソープ、おもちゃまでが常設され、プロジェクター機能付きのシーリングライトが寝かしつけの味方になります。
大浴場にはベビーバスやベビーバスチェア、脱衣場にはベッドとおむつ用ごみ箱。1階には授乳室もあり、ビュッフェレストランへはベビーカーのまま入れます。「はじめての家族旅行」の受け皿として、館全体が設計されている印象です。

グラスを手に夕方の続きへ、ラウンジという居場所

チェックインの後、部屋に荷物を置いたら、まず1階のラウンジへ。夕方のイブニングソーシャルの時間帯には、スパークリングワインや赤白のワイン、ビール、ハーブウォーター、コーヒーなどが追加料金なしで用意され、グラスを片手に旅の続きを話せます。
夜が更けると、同じ空間はナイトキャップの時間へ。ウイスキーやジン、焼酎、漬込み酒といった大人の一杯が並び、湯上がりの身体でソファに沈む頃には、明日の予定など考えなくてよいことを思い出します。
私が沖縄・残波岬の同ブランドでエグゼクティブラウンジを体験した際も、このラウンジの時間こそがグランドメルキュールの真ん中にある贅沢だと感じました。素泊まりや朝食付きのプランでも、ラウンジや温泉、アクティビティは利用できます。
白濁の湯に一日をあずける、美人の湯と呼ばれる温泉

地下1階の温泉フロアに降りると、岩づくりの露天風呂「うずしお温泉 霑(てん)の湯」が待っています。やや白濁したアルカリ性の湯は炭酸水素イオンを多く含み、「美人の湯」として知られる泉質。窓の外に四季を映す大浴場、サウナ、男女各1か所の水風呂と続き、夜風呂と朝風呂の両方を楽しめます。
湯上がりには温泉ラウンジへ。やわらかな光の落ちる静かな空間で、ドリンクを片手にソファに沈む時間まで含めて、この宿の入浴です。貸切風呂はなく、日帰り入浴も受け付けていない、宿泊者だけの湯。タトゥーのある方は、フロントで販売されるカバーシールで隠せる場合のみ利用できます。
海を見ながら何もしない、高台のガーデンプール

夏の中庭には、メインプールとキッズ向けプールを備えたガーデンプールが開かれます。期間営業のリゾートプールで、プールサイドの高台からは淡路島の海。浮き輪は膨らませずに持って行けば、備え付けの空気入れで膨らませてもらえます。
「何もしない贅沢」という公式の言葉どおり、ここでの正解は泳ぐことではなく、デッキチェアで海を眺めて時間を手放すこと。プールの営業期間や当年のオープン日は年ごとに設定されるため、訪れる前に公式サイトで確認しておくと安心です。
琥珀色に染まる屋上で、大鳴門橋へ沈む夕陽を見送る

この宿の一日には、見逃したくない瞬間がひとつあります。日没の前後だけ屋上に開かれる「KOHAKUテラス」。海と空を琥珀色に染めながら大鳴門橋へ沈んでいく夕陽を、鳴門海峡の風とともに見送る場所で、その日の日没時間は館内アナウンスが教えてくれます。
中庭の展望台には、自由に覗ける望遠鏡。大鳴門橋を見渡し、時間帯によっては渦潮へ向かう観潮船の往来まで見えます。青い海に映えるフォトスポットも同じ場所にあり、光の順でいえば撮影は午前、余韻は夕方——一日のなかで二度、上ってみたくなる丘です。
雨でも夜でも退屈の出番がない、キッズラウンジと遊びの回廊

2026年1月、地下1階に約460㎡のキッズラウンジ「しちふく」がグランドオープンしました。創造力を育む遊び場や読書スペースに、懐かしい駄菓子とドリンク。料金は宿泊代に含まれ、夕食までのすき間時間を家族で過ごす居場所になっています。
1階にはゲームコーナーとキッズコーナー、アクティブコーナーには卓球にビリヤード、ダーツ。夏休みには季節のイベントも催され、天気に左右されない遊びの選択肢が館内に折り重なっています。大人には、6階のリラクゼーションサロンで受けるボディセラピーという選択肢もあります。
淡路島を皿の上で旅する、フリーフローの夕食ビュッフェ

夕食は、地元淡路島の食材を活かしたビュッフェ。エレガントな内装のビュッフェレストラン「Le Sensoriel(ル・サンソリエル)」に加え、2026年8月には利用状況に応じて営業する2つめの会場「Le Bleu Awaji(ル・ブルー・アワジ)」が1階に開かれ、食事時間の受け皿が広がりました。
夕食時のドリンクはアルコールもソフトドリンクもフリーフロー。グラスを重ねるほどに、オールインクルーシブの実感が濃くなっていきます。
知っておきたいのは、席の事前予約ができないこと。当日はチェックイン順に食事時間を伺う方式で、混み合う日は遅い時間帯の案内になることもあります。早い時間に食事をしたい日は、チェックインそのものを早めるのがいちばん確実な席の取り方です。
なお、幼児向けの料理コーナーがあるのはLe Sensorielのみで、未就学のお子さま連れは基本的にこちらへ案内されます。順番待ちのQRシステムもあるので、待ち時間は部屋やラウンジで過ごせます。
鯛素麺で目を覚ます、島の朝食ビュッフェ

朝の会場にも、和洋のビュッフェが並びます。淡路島手延べ鯛素麺やしらす、玉子焼きといった土地の朝の顔ぶれに、パンケーキやスクランブルエッグ。子ども向けのメニューや既製品の離乳食の用意もあり、家族それぞれのペースで朝を始められます。
前夜に湯と食事で整えた身体に、島の朝食がゆっくり火を入れてくれます。朝を大切にしたい方は、夕朝食付きのオールインクルーシブプランを軸に予約を検討してみてください。
籠るための宿だと、正直に言っておきたい
一方で、街なかのホテルとは性格が違うことも知っておきたいところ。ランチの提供やルームサービスはなく、周辺の飲食店やコンビニへは車で約10分。冷暖房は全館一括切り替えで、ペットの同伴はできません。
つまりここは、外へ出かけるための宿ではなく、館内と夕陽と湯に一日をあずけるための宿です。家族連れの賑わいも、この宿の性格のうち。静けさを求める夜は、ナイトキャップのラウンジや温泉ラウンジという大人の逃げ場が用意されています。その割り切りごと楽しめる方に、深く応えてくれる一軒です。
旅の日程が決まったら

アコー系のこの宿では、世界共通の会員プログラム「ALL – Accor Live Limitless」が用意されています。入会は無料で、宿泊に応じてポイントが貯まり、会員向け料金が設定されることもあります。アコーのホテルを海外でも使う方なら、口座をひとつ持っておく価値はあるはずです。公式サイト予約限定の添い寝無料など、公式ならではの特典もあります。
公式の特典にこだわらず、今回の一泊を総額で選ぶのであれば、予約プラットフォームの使い分けが効いてきます。同じ客室でも、掲載されるプランと総額が違ってくるためです。
- 楽天トラベルは楽天ポイントを貯めて使える
- 一休は上質な宿に絞った掲載とタイムセール
- Yahoo!トラベルはPayPayとの連携が持ち味(編集部おすすめ)
普段お使いのポイント経済圏に合わせるのがいちばん無駄がありません。会員ランクや開催中のセールによって還元も変わりますので、三つを横に並べて総額で見比べるのが確実です。
客室は性格の違いがはっきりした宿なので、海側のスーペリアツインなど狙いがあるなら先に押さえるのが得策です。渦潮が大きく育つ春と秋の大潮、そして夏のプール期と連休は、家族連れに人気の日程から埋まっていきます。日程が固まったら、その日のうちに。

結び|大鳴門橋へ日が沈むとき、休日は完成する
夕方のラウンジでグラスを傾け、屋上で琥珀色の日没を見送り、白濁の湯に沈んで、ビュッフェの夜へ。時計も予定も部屋に置いたまま、一日が静かに満ちていく——それがこの丘の上の休日です。
選ぶことに疲れた休日にこそ、何も選ばなくていい宿を。次の休み、あなたが手放したいものが「予定」なのだとしたら、答えはもう見えているのではないでしょうか。

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アクセス|グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ
車の場合は、神戸淡路鳴門自動車道・淡路島南ICから約10分(約5km)。ICを降りて「福良」方面へ3回左折するルートで、カーナビが手前の崖下で案内を終えることがあるため、ホテル看板のある入り口までさらに2〜3分進むのが公式の案内です。四国側からは鳴門ICから大鳴門橋を渡って約15分、徳島空港からは車で約40分と、関西と四国のどちらからも届く位置にあります。
公共交通なら、三宮から高速バスで約85分の「福良バスターミナル」が最寄り。ターミナルとホテルを結ぶ無料シャトルバス「うずループ(UZU LOOP)」が予約不要・所要約14分で運行されており、うずしおクルーズなど南あわじの観光拠点と宿を結んでくれます。
うずループの運行期間・時刻は年度ごとに更新されるため、最新のダイヤは公式サイトでご確認ください。時間外の移動はタクシーの利用となります。徳島阿波おどり空港と南あわじを結ぶ「UZS BUS/ウズバス」(一部要予約)も2026年7月に運行を開始しました。
駐車場はロビー入り口前の屋外に240台・無料。先着順で予約はできません。EV充電設備とカーシェアサービス「TOYOTA SHARE」も駐車場に用意されています。
基本情報|グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | グランドメルキュール淡路島リゾート&スパ(Grand Mercure Awaji Island Resort & Spa) |
| 所在地 | 兵庫県南あわじ市福良丙317番地 |
| 電話 | 0799-52-3011(ホテル代表) |
| 開業 | 2024年(リブランド開業。建物は1988年6月竣工・新耐震基準) |
| 客室 | SUPERIOR・STANDARD・CLASSICの3系統(主に35㎡・海側/山側・和室/和洋室・ベビールームあり。基本のベッド幅は120cm) |
| チェックイン/チェックアウト | 15:00/11:00(プランにより異なる場合あり) |
| 滞在スタイル | オールインクルーシブプランが軸(夕食・朝食・ラウンジ・温泉・館内アクティビティ含む。一部有料・ランチ提供なし。含有範囲は予約時にプラン内容で確認) |
| レストラン | ビュッフェ「Le Sensoriel」「Le Bleu Awaji」(席の事前予約不可・当日案内) |
| 温泉 | うずしお温泉 霑の湯(地下1階・露天風呂・大浴場・サウナ・水風呂・温泉ラウンジ)。泉質はナトリウム―炭酸水素塩冷鉱泉。利用時間5:30〜10:00/15:00〜24:00。宿泊者無料・日帰り入浴不可・貸切風呂なし。タトゥーはカバーシール(フロント販売)で隠せる場合のみ可 |
| プール | ガーデンプール(メイン・キッズ・期間営業) |
| キッズ施設 | キッズラウンジ「しちふく」(地下1階・2026年1月開業)・キッズコーナー・授乳室 |
| 駐車場 | 屋外240台・無料・先着順(予約不可)。EV充電設備あり |
| 喫煙 | 全館禁煙(喫煙所は1階) |
| ペット | 同伴・入館不可 |
> ※グランドメルキュールのブランド体験に関する記述は、筆者が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在した際の内容にもとづきます。当ホテルの館内施設・客室・ダイニング等の情報は、ホテル公式サイトおよび公式発表に基づきます(2026年8月時点)。料金・営業時間・イベント開催日程は変更となる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

