首都圏から約90分、要塞跡の岬でぜんぶ込みの休日。
東京湾アクアラインを渡り、館山自動車道を南へ。富浦ICを降りて車を走らせるほどに緑が濃くなり、南房総国定公園・大房岬の森を抜けた先に、海を見下ろす白い建物が現れます。グランドメルキュール南房総リゾート&スパ——2024年4月、旧「ホテル&リゾーツ 南房総」からアコーのアッパースケールブランドへと生まれ変わった、オールインクルーシブのリゾートです。
——チェックインを済ませたら、財布のことは一度忘れて、ラウンジのグラスと温泉と海だけを考える。そんな滞在を叶えてくれる一軒を、私が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在して感じたブランドの空気に、公式情報と滞在した人々の声を重ねながら、ひとつずつ紐解いていきます。
ぜんぶ込みという解放|選ぶのは「何をするか」だけ

このホテルを選ぶいちばんの理由は、滞在中の「いくらかかる?」から解放されることです。宿泊料金には夕食と朝食のビュッフェ、ラウンジでのお酒やソフトドリンクとおつまみ、温泉・大浴場、プールや屋内あそび場といった館内アクティビティまでが含まれています。
追加の会計を気にせず、夕方はラウンジでワインを一杯、夜はビュッフェとバータイム、朝は湯に浸かってから朝食へ。お金の計算ではなく「次は何をしようか」だけを考える時間の使い方こそ、オールインクルーシブの本質だと感じさせてくれます。
名前と場所の話|旧ホテル&リゾーツ 南房総、大房岬の要塞跡に立つ

「前はなんという名前だった?」と検索される方も多いはず。答えは「ホテル&リゾーツ 南房総」。2024年4月のリブランドで、アコーと旧大和リゾート系ホテルが一斉に生まれ変わったうちの一軒です。名前は変わっても、大房岬という立地の価値はそのままです。
大房岬は黒船来航の時代から首都防衛の要塞として使われ、長らく一般の立ち入りが禁じられてきた場所。だからこそ首都圏至近とは思えない手つかずの自然が残り、園内には要塞の施設跡が点在します。歴史の気配をまとった森と海に囲まれて泊まる——それがこのホテルの原風景です。
ラウンジ|夕方の「樂遇」から、夜の「鳥渡」へ

滞在の主役になるのが、宿泊者が使えるラウンジです。夕方はイブニングソーシャル「樂遇」。赤ワインや白ワイン、ビールにコーヒー、紅茶、ハーブウォーターを片手に、夕食までのひとときをゆったり過ごせます。
夜はナイトキャップ「鳥渡(ちょっと)」へと表情を変え、一日の締めくくりにお酒と土地の逸品を楽しむバータイムに。温泉のあとにもう一杯だけ、と足を運びたくなる二部制です。私が沖縄・残波岬の同ブランドでエグゼクティブラウンジを体験した際も、このラウンジの時間こそがグランドメルキュールの真ん中にある贅沢だと感じました。大人の時間と家族の時間、どちらの過ごし方にも寄り添ってくれます。
客室|4つの系統から、旅の顔ぶれで選ぶ

客室はスーペリア、スタンダード、クラシック、ドッグフレンドリーの4系統。主力は36㎡のゆとりある間取りで、オーシャンビューとフォレストビューの2つの表情があります。ひとつ知っておきたいのは、眺望の指定はできないと公式が明言していること。海側を確約したい方は、名称に「オーシャンビュー」を含む客室タイプを選ぶのが確実です。
上位には72㎡のスタンダードジュニアスイート、144㎡のデラックススイートが控え、三世代旅行にも応える広さ。和室(36㎡・定員7名)や布団10組のグループ向け和室(72㎡・定員15名)もあり、布団は18時までにフロントへ声をかければ敷いてもらえます。
ウェルカムベビーの設え|手ぶらに近づく、赤ちゃん連れの旅

このホテルの性格をいちばん表しているのが、子育てファミリーへの備えです。貸し出し備品は調乳ポットや哺乳瓶洗浄セット、バンボ、補助便座、踏み台、ベビーソープ、おむつ用ゴミ箱まで公式に明記され、1階のあそび場には授乳室とウォーターサーバー、電子レンジも。お子さま用館内着はSサイズ110cm・Mサイズ130cmの2展開です。
そして館内はすべて浴衣とスリッパで移動できます。レストランもロビーも湯上がりのままでいい、という気楽さは、荷物も気遣いも減らしたい家族旅にこそ効いてきます。公式サイト予約なら0歳〜6歳の添い寝のお子さまは宿泊も食事も無料という設定も、家族の背中を押してくれます。

愛犬と泊まる|専用ルームとドッグラン2か所

「犬連れで泊まれる?」という声の多さに応えるのが、ドッグフレンドリーの客室群です。72㎡のドッグフレンドリースイート(和洋室・オーシャンビュー)を筆頭に、犬同伴可のクラシックルーム、ドッグフレンドリー和室の3タイプ。中型犬・小型犬は最大2匹まで、スイートは大型犬にも対応します(同2匹まで)。
宿泊には利用同意書と狂犬病ワクチン接種証明書が必要で、館内の移動はケージまたはカートで(貸し出しあり・飲食店エリアは不可)。敷地内にはドッグランが2か所あり、岬の空気のなかで愛犬と過ごせます。条件が公式に明文化されているからこそ、安心して計画が立てられます。
温泉と湯上がりの時間|岩露天は温泉、内湯は沸かし湯という正直さ

地下1階の浴場は、岩露天風呂・大浴場・サウナ・温泉ラウンジの構成。公式は「露天風呂のみ温泉です」と明言しており、内風呂は沸かし湯。この正直な開示は好感が持てます。緑に囲まれた露天でかすかな潮騒を聞きながら、温泉は外湯で味わうと決めて浸かるのがこのホテルの流儀です。
湯上がりは温泉ラウンジへ。ドリンクを自由に楽しみながらソファでひと休みできる、静かな余白の空間です。なお、タトゥーのある方は8cm×10cmのカバーシール2枚で隠せる場合のみ入浴可(シールは館内販売)。プールはシール含め利用不可のため、この差は覚えておきたいポイントです。日帰り入浴の受け入れも始まっており、詳細は公式サイトでご確認ください。
ガーデンプール|夏だけ現れる、家族の歓声の中心

夏季には屋外のガーデンプールがオープンします。深さ1.05メートル・直径15メートルの半円形で、お子さま用に浅くしたキッズスペース付き。宿泊者はオールインクルーシブの範囲で利用でき、追加料金を気にせず一日中出たり入ったりできます。
海を眺めながらチェアに寝そべる「何もしない大人時間」も公式が謳うとおり。子どもは水と遊び、大人は空と海を眺める——夏の南房総らしい光景が、ここでは日常になります。
夕食|のっけ丼となめろう、南房総を食べ尽くすビュッフェ

夕食の舞台は2階のビュッフェレストラン「Le Sensoriel(ル・サンソリエル)」。276席の広々とした会場で、和洋中の多彩な料理が並びます。名物は新鮮な地魚やなめろう、しらすを自分好みに盛る体験型の「のっけ丼」。郷土料理なめろうをサラダ仕立てにした一皿や、千葉県最南の醤油蔵・宮醤油を隠し味にした「黒アヒージョ」など、土地の物語を持つ料理が揃います。
オールインクルーシブなら夕食時のドリンクも追加料金なし。グラスを重ねながら、今日見た海の話をゆっくり語らう夜が待っています。
朝食|パンケーキを自分仕立てに、みねおか牛乳で締める朝

朝も同じ会場で、和洋のビュッフェが並びます。焼きたてパンの香ばしさと、お出汁のほっとする香り。パンケーキは好きな具材とソースでカスタマイズでき、南房総産みねおか牛乳のソフトクリームでデザートまで楽しめます。
赤ちゃん連れには5か月・7か月・9か月・12か月の4段階の離乳食がレストランで用意されるのも心強いところ。窓の外の緑を眺めながら、家族それぞれのペースで始まる朝です。
雨の日も、チェックイン前後も|あそび場と岬の過ごし方
1階の屋内あそび場は朝7時から夜23時まで使え、木のぬくもりを感じる滑り台や知育玩具が揃います。2階には無料の卓球台も。午前中は1階ラウンジで、大房岬で拾ったどんぐりや貝殻をフォトフレームに仕立てるクラフト体験「ローカルディスカバリー」が開かれ、雨の日でも退屈とは無縁です。
一方で知っておきたい正直な話も。ランチの提供はなく、一部のドリンクやアクティビティは有料です。ホテル直下の海岸は岩場と速い潮流のため遊泳禁止(磯遊びには最適)で、泳ぐなら車で約5分の多田良北浜海水浴場へ。敷地内での花火は全面的に不可、支払いは電子マネー非対応(クレジットカードとQR決済の一部は可)という点も、出発前に押さえておくと滞在がスムーズです。
旅の日程が決まったら

アコーのホテルだけに、無料の会員プログラム「ALL(Accor Live Limitless)」に入会しておくと、対象予約でポイントが貯まり、会員料金が用意されることもあります。世界のアコー系ホテルで使える仕組みなので、旅の多い方は登録しておいて損はありません。
予約は使い慣れたプラットフォームからどうぞ。同じ客室でも、掲載されるプランと総額は違ってきます。
- 楽天トラベルは楽天ポイントを貯めて使える
- 一休は上質な宿に絞った掲載とタイムセール
- Yahoo!トラベルはPayPayとの連携が持ち味(編集部おすすめ)
夏のプール期や連休はファミリー需要で早くから埋まりやすい一軒です。ドッグフレンドリールームやオーシャンビュー指定など部屋タイプにこだわるなら、日程が決まり次第の確保をおすすめします。

結び|遠くへ行くことではなく、深く休むこと
アクアラインを渡って約90分。そこにあるのは、財布を気にしない食と酒、岬の森に抱かれた温泉、子どもと犬にまで行き届いた設えです。要塞だった時代が守り抜いた手つかずの自然のなかで、家族の誰もが自分のペースで過ごせる休日。
遠くへ行くことではなく、深く休むこと。次の週末の答えは、もう見えているのではないでしょうか。

もっと深く知る
- グランドメルキュール沖縄残波岬リゾート(ブランド体験レビュー)
- グランドメルキュール那須高原リゾート&スパ|皇室が愛した高原で、何も選ばなくていい休日
- メルキュール長野松代リゾート&スパ|信玄の隠し湯と畳の大空間で、旅の荷をおろす一夜
アクセス|グランドメルキュール南房総リゾート&スパ
車なら館山自動車道・富浦ICから約8分。都心からは東京湾アクアライン経由で木更津JCT、館山道を南下するルートが定番です。駐車場は150台・無料(先着順)。なお電気自動車の充電器は利用を終了しているため、EVの方は事前に充電計画を立てておくと安心です。
電車ならJR内房線・富浦駅からタクシーで約10分。土日祝は新宿からの特急も運行します。高速バスは東京・新宿発「房総なのはな号」などで「とみうら枇杷倶楽部」下車が便利です。
富浦駅・とみうら枇杷倶楽部とホテルの間には無料送迎バス(約10分)が運行されていますが、事前予約制のため、必ずホテルへ連絡してから利用しましょう。神奈川方面からは久里浜〜金谷の東京湾フェリー(約35分)で海を渡るアプローチも旅情があります。
基本情報|グランドメルキュール南房総リゾート&スパ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | グランドメルキュール南房総リゾート&スパ |
| 所在地 | 千葉県南房総市富浦町多田良1212番地 |
| 電話 | 0470-33-3811 |
| チェックイン/チェックアウト | 15:00/11:00(プランにより異なる場合あり) |
| 客室 | スーペリア・スタンダード・クラシック・ドッグフレンドリーの4系統(主力36㎡、18〜144㎡) |
| 料飲 | ビュッフェレストラン「Le Sensoriel」(2階・276席)、ラウンジ「樂遇/鳥渡」(ランチ提供なし) |
| 温泉・浴場 | 地下1階に岩露天風呂(温泉・加温加水循環ろ過)・大浴場(沸かし湯)・サウナ・温泉ラウンジ |
| プール | ガーデンプール(夏季のみ・キッズスペースあり) |
| ペット | ドッグフレンドリー客室のみ可(中・小型犬2匹まで、スイートは大型犬対応。同意書・狂犬病ワクチン接種証明書が必要) |
| 駐車場 | 150台・無料(先着順)。EV充電器は利用終了 |
| 支払い | 主要クレジットカード可・電子マネー不可・QR決済は一部可 |
| 会員プログラム | ALL(Accor Live Limitless)対象 |
> ※グランドメルキュールのブランド体験に関する記述は、筆者が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在した際の内容にもとづきます。当ホテルの館内施設・客室・ダイニング等の情報は、ホテル公式サイトおよび公式発表に基づきます(2026年8月時点)。料金・営業時間・イベント開催日程は変更となる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。


