旅行の予算を立てるとき、飛行機代や宿泊費、食費には気を配るけど、実は「宿泊税」を見落としていて余計な出費になった――そんな経験はありませんか?宿泊税は自治体ごとにルールが違い、料金や免税対象・支払いタイミングもバラバラ。
ここでは2025年時点の主要自治体の最新ルールをもとに、宿泊税の仕組み・支払いの流れ・地域差・旅行者が損をしない確認ポイントまでわかりやすく解説します。これを読めば、旅行前に余計な驚きを防げます。
宿泊税とは?制度の概要と導入の背景

宿泊税の定義と制度概要
宿泊税とは、ホテルや旅館などの宿泊施設に宿泊した際に、宿泊者が支払う地方税の一種です。主に都道府県や市区町村が独自に条例を定めて導入しており、宿泊料金に応じて一定額が課税されます。この税金は、宿泊料金に含まれる場合と、別途請求される場合があります。
宿泊税は「法定外目的税」と呼ばれ、観光振興や地域のインフラ整備など、特定の目的に使われるのが特徴です。消費税や入湯税とは異なり、自治体ごとに税率や課税方法が異なるため、旅行先によって支払う金額が変わる点に注意が必要です。
宿泊税が導入された目的と課税理由
宿泊税が導入された主な目的は、観光地の魅力向上や観光客の受け入れ体制の強化、地域経済の活性化に必要な財源を確保することです。観光客が増加することで、交通や公共施設の整備、観光案内所の設置、文化財の保護など、さまざまなコストが発生します。これらの費用を地元住民だけでなく、実際に地域を訪れる旅行者にも一部負担してもらうことで、持続可能な観光地づくりを目指しています。また、観光公害やオーバーツーリズム対策としても、宿泊税の導入が進められています。
- 観光振興や地域活性化の財源確保
- 観光インフラや公共サービスの整備費用
- オーバーツーリズム対策や観光公害の抑制
日本での宿泊税導入の経緯・歴史
日本で最初に宿泊税が導入されたのは、2002年10月の東京都です。その後、大阪府(2017年)、京都市(2018年)、福岡市(2020年)など、観光客の多い都市を中心に導入が広がりました。近年では、北海道や仙台市など、地方都市でも宿泊税の導入が進んでいます。
背景には、インバウンド観光客の増加や、観光地の持続可能な発展を目指す動きがあります。各自治体は、地域の実情に合わせて税率や課税対象を設定しており、今後も導入自治体が増える見込みです。
導入自治体 | 導入年 |
---|---|
東京都 | 2002年 |
大阪府 | 2017年 |
京都市 | 2018年 |
福岡市 | 2020年 |
宿泊税の基本カラクリ|課税方法と税率の仕組み

課税対象(宿泊施設・旅行者・宿泊料金)とは
宿泊税の課税対象は、主にホテルや旅館、簡易宿所、民泊などの宿泊施設に宿泊する旅行者です。課税されるのは、1人1泊あたりの「素泊まり料金」(食事代や消費税、入湯税などを除いた金額)が基準となります。ただし、自治体によっては、一定金額未満の宿泊料金には課税されない場合や、修学旅行生・長期滞在者などが免除されるケースもあります。
ビジネスホテルやカプセルホテル、民泊も対象となることが多く、出張や観光など目的を問わず広く適用されます。課税対象の範囲は自治体ごとに異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
- ホテル・旅館・民泊などの宿泊施設
- 1人1泊あたりの素泊まり料金が基準
- 一部免除規定あり(修学旅行生など)
徴収・納税義務者(ホテル・旅館等)の役割と義務
宿泊税の徴収・納税義務者は、宿泊施設の運営者(ホテル・旅館・民泊事業者など)です。宿泊者から宿泊税を預かり、自治体に納付する「特別徴収義務者」としての役割を担います。宿泊施設は、宿泊料金の精算時に宿泊税を加算して請求し、一定期間ごとにまとめて自治体へ納付します。
また、納付書の作成や申告手続き、帳簿の管理など、事務的な負担も発生します。宿泊者に対しては、宿泊税の説明や領収書への明記など、透明性の確保も求められます。違反があった場合は、罰則や指導の対象となることもあるため、正確な対応が必要です。
- 宿泊税の徴収・納付
- 宿泊者への説明・領収書発行
- 申告・納付書の作成と提出
課税方法・特別徴収の具体的な流れ
宿泊税の課税方法は、宿泊施設が宿泊者から税額を徴収し、自治体に納付する「特別徴収方式」が一般的です。宿泊者は、チェックインやチェックアウト時に宿泊税を支払います。宿泊施設は、毎月または四半期ごとに、徴収した宿泊税をまとめて自治体に納付します。納付方法は、金融機関やコンビニ、電子申告など自治体によって異なります。
宿泊税の徴収・納付状況は帳簿で管理し、必要に応じて自治体の監査を受けることもあります。この流れを正しく理解し、適切に対応することが重要です。
- 宿泊者から宿泊税を徴収
- 宿泊施設が自治体へ納付
- 帳簿管理・申告手続き
宿泊税は誰が払う?支払いタイミングとよくあるパターン

宿泊税は旅行者本人が負担します。旅行代理店や予約サイトで事前決済しても、宿泊税だけは現地で支払うことが多いです。
よくある支払いパターン
- 予約サイト経由(楽天トラベル、じゃらんなど):宿泊税は現地支払い
- 海外サイト(Expediaなど):現地チェックイン時に別途請求される場合あり
- 支払い方法:現金・カードでの現地支払い、もしくは宿泊代に含めて請求されるケース
旅行前のチェックポイント:予約画面の「料金に含まれるもの」「施設利用規約」を必ず確認しましょう。
宿泊税の使い道
宿泊税として集められたお金は、自治体の観光振興や地域整備に使われます。
- 観光地のインフラ整備(道路・駐車場・観光施設)
- ゴミ処理や景観保全
- 外国人観光客への案内サービス
- 地域イベントや観光プロモーション
地域別|宿泊税の金額と仕組み【2025年最新】
全国で宿泊税を導入している代表的な自治体をまとめました。地域ごとに「課税基準額」や「段階制/一律制」が異なるため注意が必要です。
東京都
- 課税基準:1人1泊あたりの宿泊料金が10,000円未満は非課税。
- 税額:10,000円以上〜15,000円未満…100円、15,000円以上…200円。
大阪府
- 税額:5,000円以上〜15,000円未満…200円、15,000円以上〜20,000円未満…400円、20,000円以上…500円
京都市
- 税額:宿泊料金が20,000円未満…200円、20,000円以上50,000円未満…500円、50,000円以上…1,000円。
福岡市
- 税額:宿泊料金20,000円未満…200円(うち県税50円)、20,000円以上…500円(うち県税50円)。
札幌市/北海道
- 札幌市:宿泊税導入が進んでおり、条例や税率の詳細は各自治体公式サイトで確認可能
他にも北九州市、金沢市、長崎市などで宿泊税が導入されており、自治体ごとに課税方法や免税条件が異なります。
宿泊税が免除されるケース
- 中学生以下の子ども
- 学校行事・教育目的の宿泊
- 長期滞在(30日以上など)
免除条件は自治体ごとに異なるため、宿泊施設へ事前に確認することが重要です。
宿泊税の注意点
- 宿泊予約サイトの料金に含まれていないことが多い
- 海外からの旅行者も課税対象
- 同じ国内でも都市によって金額が異なる
- 高級ホテルほど宿泊税が高額になる場合がある
旅行者が損しないためのチェックリスト

- 予約時に宿泊税の有無を確認
- 支払いタイミングを把握(現地払いか事前請求か)
- 子どもや長期滞在の免除条件を確認
- 人数・泊数で課税額が変わる場合に注意
- 領収書を必ず受け取る(経費やトラブル時の証拠として)
よくある質問(FAQ)
- 予約サイトの料金に含まれる?
-
多くの場合は含まれません。別途現地払いが必要です。
- 県外の旅行者も課税される?
-
はい。居住地に関わらず宿泊する自治体で課税されます。
- ビジネス出張で会社負担の場合は?
-
宿泊税も通常の宿泊費と同様に経費として処理可能です。
- 高級ホテルだと税額は高くなる?
-
多くの自治体は段階制を採用しているため、高額宿泊ほど税も増えます。
まとめ|宿泊税を正しく理解して損しない旅を

宿泊税は、観光地の魅力向上や地域活性化のために重要な役割を果たしています。一方で、自治体ごとに制度や税率、免除規定が異なるため、旅行者や事業者は事前に最新情報を確認し、正しく理解することが大切です。
旅行前に宿泊税の情報を把握しておけば、余計な驚きや出費を避けられます。高級ホテルや観光都市に泊まる際は、特に注意して予算を立てましょう。
- 宿泊税は自治体ごとにルールが違う(免税点・税率・徴収方法)
- 支払いは現地で別途請求されることが多いので事前確認が必須
- 子どもや長期滞在などの免除条件も自治体ごとに異なる