東京湾を渡る光が、桃色のプレートに落ちる午後。
新橋の雑踏を抜け、汐留の高層エレベーターで28階へ。扉が開いた先に待っているのは、東京のホテルアフタヌーンティーを語るときに必ず名前の挙がる、コンラッド東京のティータイムです。
今回いただいたのは、盛夏から初秋にかけての「ピーチフル・アフタヌーンティー」。平日限定でコンラッドベアが付く優待プランを選び、バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」の窓辺で、ゆっくりと2時間を過ごしてきました。
窓辺の席に通されて|浜離宮の緑を見下ろす午後

通していただいたのは、窓に沿った席でした。眼下いっぱいに広がるのは、浜離宮恩賜庭園の深い緑。その向こうに東京湾の水面がきらめき、対岸の高層ビル群が夏空の下に並んでいます。
ついさっきまで歩いていた新橋の地上が、遠い別の街のように思えてくる高さ。席に着き、深く息をつくころには、午後の予定はもうこの窓辺だけになっていました。案内から着席まで、ひとつひとつの所作がやわらかく丁寧で、コンラッドらしい距離感のもてなしを、はじめのひと呼吸で感じます。
テーブルで迎えてくれる、コンラッドベア

テーブルには、小さなコンラッドベアが先に座って待っていてくれました。手のひらに収まるサイズに、色鮮やかな花柄をまとった愛らしい姿。優待プランの主役は、実はこの子なのかもしれません。

ミントグリーンのガラスプレートの傍らにちょこんと佇む姿は、写真を撮る手が止まらなくなるほど。帰り道にそのまま連れて帰れる、この午後のいちばん確かな記念です。
フレッシュピーチウーロン茶で、幕が開く

最初に運ばれてくるのは、フレッシュの桃とウーロン茶を合わせたウェルカムドリンク。グラスにミントを添え、とろりとした桃の甘さに烏龍茶の香りが重なる、透明感のある一杯です。

続いて、平らなガラスのプレートが静かに置かれます。桃の淡い色合いに、レースを思わせる繊細なあしらい。スイーツ5種とセイボリー3種、そしてスコーンが一枚の上に整然と並ぶ景色は、それだけで夏の終わりの絵画のようでした。
セイボリー3種|桃を、料理として味わう

セイボリーは、帆立と桃のタルト、桃のガスパチョ風、桃とパストラミビーフのサンドの3種。桃をスイーツではなく料理として扱う発想が、このアフタヌーンティーの遊び心です。
なかでも心に残ったのが、サンドとガスパチョでした。桃のジャムとスライスをパストラミビーフと合わせたサンドは、片側をパイ生地、もう片側をキャラメリゼしたパンで挟んだ構成。フルーツサンドを思わせる甘みの奥に、肉の深みがそっと顔を出します。

グラスの底からフレッシュチーズ、桃と生ハムを合わせたトマトコンソメのゼリー、桃とトマトのピューレと層を重ねたガスパチョ風は、スペインの夏の一皿を桃で読み替えたような涼やかさ。帆立と桃のタルトには、ミョウガの香りがひそやかな輪郭を添えていました。
スイーツ5種|重くならない、上品な甘さ
スイーツは、桃ゼリー、桃とココナッツのムース、ピーチウーロン茶と桃のパンナコッタのヴェリーヌ、チョコレートとグレープフルーツのタルト、そして桃といちごのムース。すべてに桃が使われていながら、ひとつとして味が重なりません。
とりわけ気に入ったのは、桃といちごのムース。つるりときめ細かなムースの中にいちごのゼリーを忍ばせ、甘みと酸味がやさしく釣り合う一品です。上に飾られた桃のコンポートが、ひと匙ごとに夏の余韻を運んでくれました。
どのスイーツも、重すぎず、上品な甘さ。ホテルのアフタヌーンティーで時折感じる「最後まで食べきれるかしら」という心配が、ここでは不要でした。ちょうど良い量で、最後のひと口まで心地よく。この「ちょうど良さ」も、コンラッドの設計のうちなのだと思います。
開業以来のスコーン、クロテッドクリームとオレンジジャム

プレートの華やかさの陰で、静かに主役を張っていたのがスコーンです。開業以来変わらぬレシピで焼かれているというプレーンとパイナップルの2種に、クロテッドクリームとオレンジジャムを添えて。
温かいうちに割ると、外はさくり、中はしっとり。オレンジジャムのほのかな苦みが、桃づくしのプレートのあとに心地よい区切りをつけてくれます。季節のテーマが移り変わっても、このスコーンだけは変わらずここにある。そう思うと、また次の季節にも来たくなるのです。
ティーセラー|オリジナルティーから、ソフトピーチへ

お茶はメニュー「ティーセラー」から、約20種のなかを好きなだけ。最初に選んだのは、コンラッド東京オリジナルティーでした。九州産の緑茶とセイロンの紅茶をブレンドした一杯は、癖がなくすっと喉を通る飲みやすさで、桃の甘さを受け止めながらも邪魔をしません。

食後に選んだのは、ノンカフェインティーのソフトピーチ。りんご、ハイビスカス、ローズヒップなどをブレンドしたフルーツティーで、カップを口元に近づけた瞬間、桃の香りに包まれます。

深い紅色の一杯が、ピーチフルな午後を最後まで桃の香りで満たしてくれる。カフェインを控えたい午後遅い時間にも、そのままの気持ちで過ごせる、逸品でした。
コンラッド東京のアフタヌーンティー、ご予約について
アフタヌーンティーの予約は、公式サイトからTableCheckで受け付けています。コンラッドベア付きの優待プランは平日先着40名限定のため、日程が決まったら早めに確保しておくのが安心です。窓辺の席を希望する場合は、予約時にひと言添えておくと、当日の時間がいっそう豊かになります。
コンラッドをはじめとするヒルトン系列では、ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン(HPCJ)の会員特典として、レストラン利用時の割引やバースデーケーキなど、ささやかな特別が用意されています。コラージュでのディナーの夜にも助けられた、私が手放さない理由のひとつです。
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結び|浜離宮の緑を見下ろす、桃色の2時間
窓辺に通された瞬間から、コンラッドベアに迎えられ、ピーチウーロン茶で幕が開き、桃を料理として味わうセイボリーと、重くならない上品なスイーツを、ゆっくりと2時間かけて。オリジナルティーで寄り添い、ソフトピーチの香りで締めくくる午後は、東京の真ん中にいながら、心がすっかりほどけていく時間でした。
華やかさに寄りかからず、量も甘さも「ちょうど良い」ところで整えてくる。その節度こそが、コンラッド東京のアフタヌーンティーが長く愛され続ける理由なのだと、今回あらためて感じました。
季節ごとにテーマは移り変わり、次の季節にはまた別の果実や花が窓辺を彩るはずです。それでも、浜離宮の緑を見下ろす席と、開業以来のスコーンと、丁寧な所作は、いつ訪れても変わらずここにある。そんな安心感が、この午後を「また」の約束に変えてくれます。
銀座でのお買い物の締めくくりに、あるいは大切な人とのささやかなお祝いに。汐留の空の高さで過ごす桃色の午後を、ぜひ味わってみてください。
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アクセス|コンラッド東京 28階
コンラッド東京 28階 バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」
都営大江戸線・ゆりかもめ「汐留駅」直結。
JR・東京メトロ銀座線・都営浅草線「新橋駅」より徒歩約7分。
基本情報|コンラッド東京 アフタヌーンティー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」(CONRAD TOKYO) |
| 場所 | コンラッド東京 28階 |
| 提供時間 | 毎日 11:00〜16:30(2時間制) |
| 今回のテーマ | ピーチフル・アフタヌーンティー(2026年8月1日〜9月30日) |
| 料金(2026年夏時点・税サ込) | スタンダード 平日 ¥7,900・土日祝 ¥8,500/コンラッドベア付きスタンダード ¥9,400(平日先着40名限定の優待プラン ¥7,900)/乾杯シャンパーニュ付きデラックス ¥12,500 |
| 内容 | スイーツ5種・セイボリー3種・スコーン2種(プレーン/パイナップル)・ウェルカムドリンク・約20種のドリンクセレクション(フリーフロー) |
| キャンセルポリシー | 前日20時以降100% |
| 予約 | 公式サイト(TableCheck)/TEL 03-6388-8745(レストラン予約直通) |
※季節のテーマ・料金・提供内容は時期により変更されます。最新の開催情報は公式サイトでご確認ください。
