世界中のリッツ・カールトンで、ここにしか湧かない湯がある。
48のカーブにその名を刻む、いろは坂。ヘアピンをひとつ曲がるたびに街の気配が薄れ、坂を上りきった先に、ふいに大きな水面が開けます。中禅寺湖。振り返れば、勇壮な男体山。日光の社寺で知られるこの土地のさらに奥、「奥日光」と呼ばれる山上の聖域に、ザ・リッツ・カールトン日光は佇んでいます。2020年7月15日、栃木県初のインターナショナルラグジュアリーホテルとして誕生した全94室のリゾートで、1,200年以上前に発見された秘湯・日光湯元温泉から湯を引く、ブランド世界初の温泉を備えています。
窓の外の湖と山、季節ごとに色を変える森、夜の星空。東京から半日の道のりの先に待つのは、観光でも贅沢でもなく「回復」という体験です。——そんな滞在を、公式情報と滞在した人々の声をもとに、ひとつずつ紐解いていきます。
回復という体験|このホテルを選ぶ理由

日光国立公園の只中、湖畔に寄り添うように建つこのホテルの主役は、建物ではなく自然です。派手な建築で風景と競うのではなく、湖と山の懐に溶け込む。その謙虚さこそが、ここでの滞在を特別なものにしています。都市のラグジュアリーに慣れた人ほど、この湖畔の静けさに深く癒されるはずです。
そして、世界中のリッツ・カールトンを泊まり歩いた人でさえ、ここでしか叶わない体験があります。ブランド初の温泉です。湯に浸かり、縁側で湖を眺め、暖炉のそばで午後を過ごす——予定表を白いままにしておくほど豊かになる滞在は、国内のラグジュアリーホテルでも稀有な存在です。
奥日光、中禅寺湖畔|国立公園の中に泊まるということ

ザ・リッツ・カールトン日光が建つのは、栃木県日光市中宮祠。日光国立公園の中、中禅寺湖のほとりです。目の前には日本百景に数えられる湖、背後には信仰の山・男体山。日本三大名瀑の華厳ノ滝や、湿原の戦場ヶ原、そしてユネスコ世界遺産「日光の社寺」まで、日本の自然と精神文化の名所が滞在の圏内に揃います。
山上の空気は澄み、夜は漆黒の闇と星が戻ってきます。国立公園の中に泊まるということは、自然のリズムの中に身を置くということ。チェックインの瞬間から、時間の流れそのものが変わっていきます。
レーキサイドホテルの記憶|1894年から続く、湖畔の物語

実はこの場所には、130年前から旅人を迎えてきた歴史があります。1894年、日光を訪れる外国人のために開業した「レーキサイドホテル」。避暑地・奥日光の社交を長く支えたこの由緒あるホテルの跡地に、2020年7月15日、ザ・リッツ・カールトン日光は誕生しました。
明治の外国人たちが愛した湖畔の景色を、現代最高峰のホスピタリティで受け継ぐ。単なる新築リゾートではなく、土地の記憶の上に立つホテルなのです。この物語を知ってから窓の外を眺めると、湖の景色が少し違って見えるはずです。
邸宅というデザイン|和と西洋、自然との調和

ホテルのデザインコンセプトは、「西洋と日本の建築デザイン、そして奥日光の自然と調和した邸宅」。設計を手掛けたのは日本を代表する設計事務所、日建設計です。内部と外部が連続し、四季の移ろいをそのまま室内へ招き入れる空間は、ホテルというより、山の上の上質な別荘に招かれたような感覚をもたらします。
館内のそこかしこに息づくのは、日本の伝統技巧への敬意。ロビーの先に広がる庭園、素材の質感、光の扱い。声を潜めたくなるような静けさが、到着の瞬間から心の速度を緩めてくれます。
客室|全室57平米、バルコニーと縁側のある部屋

客室は、全94室。すべての部屋が57平方メートル以上というゆとりを持ち、男体山ビューか中禅寺湖ビュー、ふたつの絶景のいずれかと向き合います。そして全室に備わるのが、バルコニーと、日本家屋の縁側に見立てたラウンジエリア。窓辺に腰を下ろし、湖を渡る風や山の稜線と、ただ静かに過ごすための設えです。
和の風合いを取り入れたナチュラルカラーの室内は、装飾を抑えたぶん、窓の外の自然が最大の絵画になります。朝は湖面の光で目覚め、夜は漆黒の闇と星に包まれて眠る。都会のホテルでは決して手に入らない贅沢です。
スイート|湖を独り占めする、ふたつの頂

スイートは全10室。中禅寺湖を望む「中禅寺湖ビュー スイート」が9室、そして頂点に立つのが、277平方メートルの「ザ・リッツ・カールトン スイート」です。広々としたリビングから屋外の座席、バスルームまで、どこにいても中禅寺湖と男体山の絶景が寄り添います。
記念日やプロポーズの舞台として、これほど雄弁な部屋はなかなかありません。言葉を尽くすかわりに、窓の外の湖に語らせる。そんな一夜を計画するのも素敵です。
温泉|世界のリッツ・カールトンで、ここにしかない湯

このホテルを唯一無二の存在にしているのが、温泉です。ザ・リッツ・カールトンブランドとして世界で初めて設けられた温泉は、1,200年以上前に発見されて以来、秘湯として知られてきた日光湯元温泉の源泉から湯を引いています。世界中のリッツ・カールトンを泊まり歩いた人でさえ、この体験だけはここでしか叶いません。
露天風呂に身を沈めれば、視線の先には奥日光の自然。湯けむりの向こうに山の稜線が浮かび、季節によっては雪見の湯という贅沢も待っています。サウナも備わり、湯上がりには浴衣でくつろぐ時間を。利用時間や日帰り利用の可否などの条件は、公式サイトで最新の情報をご確認ください。
ザ・リッツ・カールトン スパ|自然に還るトリートメント

温泉とともに、心身を整える体験を深めてくれるのが「ザ・リッツ・カールトン スパ」です。奥日光の自然に抱かれた静かな空間で、旅の疲れや日常の緊張を丁寧に解きほぐすトリートメントの数々が用意されています。
温泉で温めた身体に、スパの手技を重ねる。この順番こそ、山のリゾートならではのウェルネスの正解です。メニューや料金は変動するため、予約とあわせて公式サイトでご確認ください。
朝の座禅|湖畔で、心を整える

ザ・リッツ・カールトン日光の朝には、特別な選択肢があります。座禅です。信仰の山・男体山の麓という土地柄にふさわしく、静寂の中で自分の呼吸と向き合う時間が、アクティビティとして用意されています。
湖畔の澄んだ空気の中、目を閉じて座る数十分。スマートフォンから離れ、予定から離れ、ただ「いま、ここ」に戻っていく。この体験のために日光を再訪する人がいるのも頷けます。開催状況や参加方法は、ホテルへの確認をおすすめします。
朝食|奥日光の朝を、彩りの一皿で

朝は、和と洋から選べる朝食が待っています。栃木県産の食材をふんだんに取り入れた彩り豊かな内容は、宝石箱のようだと評判を集めてきました。湖畔の朝の光の中でいただく一皿は、その日一日の予感そのものです。
早起きして湖畔を散歩し、澄んだ空気でお腹を空かせてから席に着く。この流れこそ、奥日光の朝の正しい過ごし方だと思います。提供内容の詳細は公式サイトでご確認ください。
日本料理|鹿沼組子の先に広がる、会席と鮨と鉄板焼

メインダイニングのひとつ「The Japanese Restaurant by The Ritz-Carlton, Nikko」は、栃木の伝統工芸・鹿沼組子をモダンにあしらった格子のアプローチが迎える、和の砦です。広々としたテーブル席にカウンター、風の心地よいテラス席を備え、地元栃木の旬の食材を活かした会席料理を、銘酒とのマリアージュとともに味わえます。
鮨や鉄板焼といったカウンターの愉しみも、このレストランの奥行きです。山の恵みと湖の静けさに、日本料理の繊細さがこれほど似合う場所はありません。席や提供内容の詳細は、予約時にご確認ください。
レークハウス|湖と過ごす、カントリーサイドの休日

もうひとつのダイニング「レークハウス」は、きらめく中禅寺湖の景色を主役にした洋食レストランです。ボートハウスに着想を得た空間で、栃木の大自然が育んだ食材を、ゆったりとしたカントリーサイドの休日をイメージした一皿に。ランチの目的地としても人気を集めています。
湖畔沿いのテラスで、風と光とともにいただく食事は、それだけで旅のハイライトになります。宿泊せずとも訪れたくなる場所ですが、利用条件や営業時間は季節で変わるため、公式サイトでの確認が安心です。
ザ・ロビーラウンジ|暖炉のそばで、アフタヌーンティーを

午後の主役は、「ザ・ロビーラウンジ」です。大きな窓の外に美しい庭園が広がり、アート作品と本に囲まれた空間には、心地よい暖炉の火と音楽。ここで供されるアフタヌーンティーは、都会のそれとはまったく別の時間が流れます。栃木の恵みと季節のテーマをまとったスイーツを、山の静けさとともに。
なお、このホテルには都市型ホテルのようなクラブラウンジはありませんが、そのぶん、このロビーラウンジが滞在中の「帰る場所」になってくれます。季節ごとのメニューは公式サイトでご確認ください。この暖炉のそばの午後については、いずれ稿を改めて、じっくりと紐解きたいと思っています。
ザ・バー|天然氷とウイスキーの夜

日が暮れたら、「ザ・バー」へ。手割りした高地の天然氷に、国産の最高級ウイスキーを注ぐ一杯が、このバーの流儀です。栃木の地元産素材を使ったオリジナルカクテルも揃い、山の夜は思いのほか豊かに更けていきます。
氷が溶けるかすかな音さえ聞こえそうな静けさの中で、一日を振り返る時間。都会のバーでは味わえない、この土地ならではの夜です。
アクティビティ|四季の奥日光を、全身で

ザ・リッツ・カールトン日光の滞在は、館内で完結しません。春から秋はハイキングやサイクリング、釣り、湖でのパドルボート。冬はスノーシューで雪の森へ。澄んだ夜には星空の観察も待っています。中禅寺湖、華厳ノ滝、戦場ヶ原、そして世界遺産の日光の社寺と、足を延ばす先にも事欠きません。
お子さま向けには、遊びと探検の体験プログラム「リッツ・キッズ」も。三世代の家族旅行から、自然に没入するおとなの一人旅まで、それぞれの過ごし方に応えてくれます。季節ごとのプログラムは公式サイトでご確認ください。
旅の日程が決まったら

ザ・リッツ・カールトン日光は、Marriott Bonvoyの対象ホテルです。日々の滞在で貯めたポイントを使って憧れの一夜を叶える「ポイント宿泊」の目的地として、国内でも屈指の人気を誇ります。賢く旅を設計する人にとって、このホテルは「いつか」ではなく「次」の選択肢です。エリート会員向けの特典内容は会員ランクや時期によって変わるため、最新の条件はMarriott Bonvoy公式サイトでご確認ください。
全94室、スイートはわずか10室。いろは坂が日本屈指の紅葉ルートになる秋を筆頭に、季節によって表情も予約の取りやすさも大きく変わるため、狙う季節を決めて早めに計画するのがこのホテルの正解です。中禅寺湖ビューか男体山ビューか、眺めの希望も予約時に描いておきましょう。

結び|湖のほとりで、深く息をする

ザ・リッツ・カールトン日光の魅力をひと言でいえば、「何もしないことの豊かさ」です。世界で唯一のリッツ・カールトンの温泉に浸かり、縁側で湖を眺め、暖炉のそばで紅茶を飲み、夜は天然氷のウイスキーと星空。予定表は、白いままでいい。この土地が、時間の使い方を教えてくれます。
いろは坂を上るという小さな旅の儀式も、振り返れば必要な助走だったと気づくはずです。街の速度を一段ずつ手放して、湖畔に着く頃には、呼吸が深くなっている。都会で頑張り続けたあなたにいま必要なのは、この標高の静けさかもしれません。次の連休、スーツケースに浴衣上がりの自分を想像して。答えはもう、見えているのではないでしょうか。

ザ・リッツ・カールトン一覧
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アクセス|ザ・リッツ・カールトン日光
ザ・リッツ・カールトン日光は、栃木県日光市中宮祠、中禅寺湖畔に位置しています。東京方面からは、浅草から東武特急で東武日光駅へ、そこからいろは坂を上っておよそ40〜50分が目安。ホテルはシャトルバスを運行しており、事前予約制のため、時刻表の確認と予約を済ませておくと安心です。
東武日光駅からは路線バス(中禅寺温泉・湯元温泉方面行き)も利用でき、ホテル前にバス停があります。車の場合は、日光宇都宮道路の清滝インターからいろは坂経由でのアプローチ。48のカーブを描く名物の山道は、紅葉の季節には日本屈指のドライブルートになります。駐車場・シャトルバスの最新の運行情報は、公式サイトでご確認ください。
基本情報|ザ・リッツ・カールトン日光

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | ザ・リッツ・カールトン日光(The Ritz-Carlton, Nikko) |
| 所在地 | 栃木県日光市中宮祠2482 |
| 開業 | 2020年7月15日(栃木県初のインターナショナルラグジュアリーホテル) |
| 客室数 | 全94室(全室57㎡以上・バルコニー付き/スイート10室・最大277㎡) |
| ダイニング | The Japanese Restaurant、レークハウス、ザ・ロビーラウンジ、ザ・バー |
| ウェルネス | 温泉(ブランド初・日光湯元温泉より引き湯・露天風呂/サウナ)、ザ・リッツ・カールトン スパ、フィットネスセンター |
| チェックイン/チェックアウト | 15:00 / 12:00 |
| ペット | 不可 |
| ブランド | ザ・リッツ・カールトン(マリオット・インターナショナル/Marriott Bonvoy対象) |
※館内施設・客室・ダイニング等の情報は、ホテル公式サイトおよび公式発表に基づきます(2026年7月時点)。料金・営業時間・イベント開催日程は変更となる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
