清水寺の食べ歩き|参道と坂で味わう抹茶、団子、漬物と、持ち帰りたい土産

清水寺の食べ歩き|参道と坂で味わう抹茶、団子、漬物と、持ち帰りたい土産

清水寺は、食べながら登る寺。買って、立ち止まって、味わって、また歩く。

参道の湯気、抹茶の香り、竹の台に並んだ芋菓子。京都駅からバスで着いた瞬間から本堂の舞台に立つまで、この道のりには誘惑が途切れる場所がありません。

私は京都を訪れるたびにこの参道と坂を歩き、串の漬物を片手に坂を眺め、二寧坂の京町家で丼をいただいてきました。この記事では、その実体験をもとに、清水坂・産寧坂・二寧坂・八坂通というエリアごとの楽しみ方と、食べ歩きの作法、持ち帰りたい土産までをご案内します。

坂そのものの名前や由来、歩き方は別の記事に譲り、ここでは「何を、どこで、どう味わうか」に徹します。

食べ歩きの作法、先にこれだけ

清水寺周辺の食べ歩きでいちばん大切な作法は、買った店の前で食べきることです。京都市は観光マナーとして、混雑する場所で歩きながら飲食することを控えるよう呼びかけていて、地元の店先にも同じ趣旨の案内が増えています。

石畳の坂は道幅が狭く、人の流れが密です。歩きながら食べると、すれ違う人にも、串やカップにも、良いことがひとつもありません。

竹の台に行儀よく並んだ芋菓子と串の団子

作法はシンプルに三つ。買った店の前か、店が設けたスペースで食べる。ゴミは買った店で引き取ってもらうか、持ち帰る。そして、道をふさがない。これだけ守れば、食べ歩きはこの町で歓迎される楽しみ方です。混雑を避けるなら午前中が狙い目で、昼前後の坂は人の波になります。ゆっくり選んで、ゆっくり味わいたい人ほど、朝から動いてください。

エリアで変わる、食の顔

清水寺周辺の食べ歩きエリアは、大きく三つに分かれます。清水寺の参道である清水坂、石畳の産寧坂・二寧坂、そして八坂の塔へ続く八坂通。それぞれに食の性格が違うので、実際に歩く順でご紹介します。

清水坂|参道の王道、湯気と薬味

バス停から清水寺へ向かう清水坂は、参道らしい賑わいの道です。蒸したての湯気、揚げたての香り、試食の声。私が毎回必ず立ち寄るのは、漬物の西利です。

串に刺さったきゅうりの浅漬けを一本買って、坂の景色を眺めながらその場でいただく。歩き疲れた体に漬物の塩気が染みる感覚は、甘いものの合間にこそ効きます。参道には創業約360年の七味唐がらしの老舗、七味家本舗もあり、本堂参拝の行き帰りに薬味の香りが鼻をかすめます。

京つけもの西利 清水産寧坂店(にしり きよみずさんねいざかてん)
京都府京都市東山区清水3-334

七味家本舗(しちみやほんぽ)
京都府京都市東山区清水2丁目221 営業時間 9:00 / 18:00

産寧坂・二寧坂|石畳の菓子と、町家の甘味

石畳の坂に並ぶ菓子店と、行き交う人々

石段を下りて産寧坂から二寧坂へ入ると、食の表情が参道の賑わいから菓子の繊細さへ変わります。二寧坂の月下美人の店先には、竹の台に芋菓子や串の団子が並び、私はここのみたらし団子に何度も足を止めてきました。焼き目の香ばしさとたれの甘辛さは、石畳の坂で食べるからこそ記憶に残る味です。

小瓶の金平糖やかわいい京菓子を集めた二年坂まるんは、食べ歩きよりも「連れて帰る」楽しみの店。そして二寧坂には、大正時代初期の日本家屋を活かしたゴンチャの町家店舗があり、宇治抹茶のミルクティーを携えて坂を眺められます。築100年を超える町家を改装したスターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店の畳の間も、歩き疲れた足を休める場所として覚えておいてください。

夜の軒先に灯る「貢茶」の行灯

月下美人(げっかびじん)
二寧坂沿い

二年坂 まるん(にねんざか まるん)
京都府京都市東山区八坂通二年坂西入ル 営業時間 10:00 / 18:00

ゴンチャ 京都二寧坂店(ごんちゃ きょうとにねんざかてん)
京都府京都市東山区高台寺南門通下河原町東入ル桝屋町349-9

スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店(すたーばっくす こーひー きょうとにねんざかやさかちゃやてん)
京都府京都市東山区高台寺南門通下河原東入桝屋町349 営業時間 8:00 / 20:00

八坂通|塔を見ながら、コーヒーを

%ARABICAのカウンターに並ぶコーヒーマシン

二寧坂を抜けて八坂の塔の方向へ下ると、通りの性格はコーヒーに変わります。行列の絶えない%ARABICAをはじめ、町家の軒先に小さなコーヒースタンドが点在し、五重塔を見上げながらカップを傾ける人たちで賑わいます。甘いものを巡ってきた口に、ここで一杯のコーヒー。食べ歩きの締めくくりとして、これ以上の配置はありません。

%ARABICA 京都 東山(あらびか きょうと ひがしやま)
〒605-0853 京都府京都市東山区星野町87-5

町家の軒に掲げられたコーヒースタンドの看板

ジャンルで選ぶなら

目当てから逆引きするなら、こう覚えてください。抹茶なら八坂通のコーヒースタンドの抹茶ラテか、二寧坂のゴンチャの宇治抹茶ミルクティー。団子なら月下美人のみたらし。しょっぱいものの口直しなら西利の串きゅうり。かわいい京菓子ならまるん。薬味・調味料なら七味家本舗。どの店も坂の一本道沿いなので、順に歩けば自然と全部の前を通ります。

座って食べる昼|二寧坂の京町家で、丼を

食べ歩きだけでお腹を満たすのも楽しいのですが、一度は腰を落ち着けて昼食を取ることをおすすめします。私の答えは二寧坂の京町家、五木茶屋です。坂の喧騒からのれん一枚で切り替わる店内で、京都らしい丼をゆっくりといただく。食べ歩きの「点」の味とは違う、「膳」の満足がここにあります。店の詳しい体験は五穀豊穣のお茶屋ごはん®︎ 五木茶屋 清水店|二寧坂の京町家で味わう「京丼五種食べ比べ膳®︎」でご紹介しています。

夜の産寧坂に灯る「ゆどうふ」の看板

京都らしい昼食といえば、産寧坂の湯どうふの老舗、奥丹の大提灯も坂の名物です。ゆどうふの文字が染め抜かれた提灯を目印に、ハレの日の昼食の選択肢として覚えておいてください。

土産|日持ちと持ち歩きで選ぶ

食べ歩きの締めは、持ち帰る楽しみです。選ぶ基準は日持ちと持ち歩きやすさ。私のいちばんのおすすめは、西利のごぼうの漬物と、めずらしいかぼちゃの漬物です。京都土産に漬物というと地味に聞こえるかもしれませんが、この二品は食卓で確実に話題になり、贈った相手の記憶に残ります。軽くてかさばらないのも旅向きです。

かわいさで選ぶなら、まるんの小瓶の金平糖。七味家本舗の七味は缶や袋で日持ちし、料理のたびに京都を思い出させてくれます。そして最近のこの坂には、香りを持ち帰るという新しい土産も増えました。調香体験で作る自分だけのフレグランスや香り袋は、食べ物の土産と違って旅の記憶そのものを形にできます。

着物で歩く日の食べ歩き

木漏れ日が揺れる八坂庚申堂。お気に入りの着物で、カラフルなくくり猿と残す特別な思い出

この坂では、着物姿で食べ歩きを楽しむ人を一年中見かけます。石畳と町家を背景にした着物姿は写真映えが別格で、清水坂周辺にはレンタル店も多いので、朝に着付けて一日歩くプランが定番です。着物の日の食べ歩きは、袖とたれ物にだけ注意を。串物は店先で食べきり、汁気のあるものは座れる店を選ぶと安心です。

そして着物で歩く日に、私がぜひ立ち寄ってほしいのが八坂庚申堂です。色とりどりのくくり猿を背景にした一枚は、この界隈でいちばん着物が映える場所。食べ歩きの合間の寄り道として、坂から数分の距離です。詳しくは八坂庚申堂(金剛寺)|カラフルなくくり猿に、欲をひとつ預けて願うでご紹介しています。

坂と塔へ、食からつながる東山

食べ歩きの一本道は、そのまま東山の観光動線です。清水寺の参拝を終えて清水坂を下り、産寧坂・二寧坂の菓子を巡り、八坂通のコーヒーで締めて八坂の塔へ。石畳の坂そのものの由来や歩き方、昼と夜のふたつの顔については、産寧坂・二寧坂の記事で詳しくご紹介する予定です。東山の一日は、食を縫い糸にして組み立てると、歩く距離のすべてがおいしくなります。

結び|おいしい参道は、ゆっくり歩く人のもの

清水寺の食べ歩きは、店の数を競う遊びではありません。買った店の前で立ち止まり、ひとつをちゃんと味わい、また歩き出す。その繰り返しのリズムこそが、この参道の正しい速度です。歩き食べを控えるという京都の作法は、窮屈なルールではなく、一番おいしい食べ方の指南だと私は思っています。

串のきゅうりを持って坂を眺める数分間。みたらしの焼き目を待つ店先。塔を見上げて飲む一杯のコーヒー。次の京都で、どの味から始めるか。答えはもう見えているのではないでしょうか。

もっと深く知る

アクセス|五条坂・清水道から参道へ

京都駅から市バス206系統で「五条坂」または「清水道」下車、坂を上がれば食べ歩きエリアの入口です。京阪電車なら「清水五条」駅から徒歩圏。店の多くは夕方には閉まり始めるため、食べ歩き目的なら午前から昼過ぎまでの時間帯がいちばん充実しています。桜・紅葉期は周辺道路が渋滞するため、公共交通の利用をおすすめします。

基本情報|食べ歩きエリア

項目内容
エリア清水坂・産寧坂・二寧坂・八坂通(京都市東山区)
営業時間店舗により異なります(多くは日中営業・夕方閉店)
作法歩きながらの飲食は控え、店の前で。ゴミは店へ返すか持ち帰り
アクセス市バス「五条坂」「清水道」下車/京阪「清水五条」駅から徒歩圏

※掲載店舗の営業状況・価格・商品内容は執筆時点の情報です。お出かけ前に各店の公式情報をご確認ください。

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