1935年から続く、大阪の迎賓館のいちばん新しい季節。
堂島川と土佐堀川、二つの川に抱かれた中之島の西の端。川風の抜ける水辺にひときわ大きな存在感で立つのが、リーガロイヤルホテル大阪です。京阪中之島線の終着「中之島」駅と地下で直結し、JR大阪駅からはホテル専用の無料シャトルバスが日々往復。
1935年に前身の新大阪ホテルとして産声を上げた「大阪の迎賓館」は、2025年4月1日、大規模改装を経て日本初の「ヴィニェット コレクション」としてグランドオープンしました。客室は全1,001室。伝統はそのままに、装いは新しく——いま、この老舗はもっとも瑞々しい季節を迎えています。
——都心の喧騒から、水に囲まれた静けさへ。移動そのものが滞在への切り替えの儀式になる、そんな一軒を、公式情報と滞在した人々の声をもとに、ひとつずつ紐解いていきます。
1935年から続く物語と、二つの川に抱かれた中之島|大阪の迎賓館と呼ばれて

このホテルを選ぶ理由は、まず何よりその時間の厚みにあります。前身の新大阪ホテルが産声を上げたのは1935年。戦前から大阪の社交と迎賓の中心であり続け、ロイヤルホテルグループの旗艦として、国賓、皇室、世界のVIPを迎えてきました。大阪で「特別な日にはリーガロイヤル」という感覚が世代を超えて受け継がれているのは、この90年の積み重ねゆえです。
祖母の代の結婚式も、母の代の顔合わせも、このホテルだった——そんな家族の物語を持つ大阪の人は少なくないはずです。建物は改装で新しくなっても、記憶の器としての役割は変わらない。ここには、新しいホテルには決して真似のできない時間の厚みがあります。

中之島は、堂島川と土佐堀川に挟まれた東西に細長い中州です。東側には市役所や中央公会堂が並ぶ大阪の中枢が、西へ進むにつれて美術館や国際会議場が点在する文化と静けさのエリアが広がります。ホテルが立つのはその西寄り。ビジネス街の緊張感からほどよく離れ、川面を渡る風と、水辺の遊歩道の気配が日常の風景になる場所です。
梅田や大阪駅にほど近い都心でありながら、視界には常に水がある。この立地の妙が、リーガロイヤルホテル大阪の滞在に独特の落ち着きを与えています。夜、部屋の窓から見下ろす川の暗さと街の灯り。都会の真ん中で、これほど静かな夜を過ごせる場所は貴重です。
日本初のヴィニェット コレクションという新しい風と、振舞い茶に迎えられる到着のリチュアル

2025年4月1日、リーガロイヤルホテル大阪は「リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション」としてグランドオープンしました。ヴィニェット コレクションは、IHGホテルズ&リゾーツのラグジュアリー&ライフスタイル・ポートフォリオに属するコレクションブランド。その日本第一号に、この老舗が選ばれたことになります。
約135億円を投じた大規模改装は、客室だけでなく、宴会場、レストラン、ロビーといった公共エリアにまで及びました。歴史と伝統に重きを置いた意匠で、名門の風格はそのままに、空間は現代の感性へ。IHGの会員プログラム「IHGワンリワーズ」の対象となったことで、世界のIHGファンにとっても大阪の新たな目的地になっています。

ヴィニェット コレクションのホテルには、「記憶に残るリチュアル」という共通の思想があります。このホテルでゲストを迎えるのは、振舞い茶のもてなしと、スタインウェイ&サンズの自動演奏ピアノ「SPIRIO」が奏でる優雅な調べ。到着してすぐ、一服の茶とピアノの音色が、旅の心拍数をゆっくりと落としてくれます。
チェックインという事務的な時間を、こんなふうに文化の体験へ変えてしまう。90年の迎賓の伝統と、新しいブランドの思想が出会った象徴のような瞬間です。
旅の目的にちょうどいい部屋が見つかる客室と、空に近い居場所を持てるクラブフロア

客室はシングルから約700平方メートルのスイートまで、全1,001室。改装によってデラックススイート、スイート、グランド、プレミアム、スタンダードアクセシブル、スタンダード、コージーの7タイプに整えられ、いずれも和の美意識を織り込んだ落ち着きある空間に生まれ変わりました。

窓の外には、川と街が織りなす中之島の風景。1,001室という規模は、言い換えれば選択肢の豊かさです。ひとり旅の身軽なステイから、記念日のスイートまで、その日の旅の目的に合わせて「ちょうどいい部屋」が必ず見つかる。大型ホテルならではの懐の深さといえます。

ワンランク上の滞在を求めるなら、クラブフロア「ロイヤルクラブ」という選択があります。専用カウンターでのスムーズなチェックインに始まり、高層23階の「ロイヤルラウンジ」へのアクセスが付帯。朝日に染まる街から、きらめく夜景まで、時間ごとに表情を変える高層階からの眺望とともに、朝食やティータイムのサービスを楽しめます。
部屋のほかに、空に近い「もうひとつの居場所」を持てることは、都市滞在の質を大きく変えてくれます。クラブラウンジの過ごし方については、いずれ稿を改めて、じっくりとご紹介したいと思います。

紫雲のシャンデリアの下のメインラウンジと、庭園を望む季節のアフタヌーンティー

1階のメインラウンジは、このホテルの顔と呼ぶべき空間です。コンセプトは「和の伝統美に酔う、夢空間」。頭上には「紫雲」をイメージしたシャンデリアが浮かび、壁には名画伯たちの絵画、視線の先には四季折々の表情を見せる庭園。着物姿のスタッフに迎えられて席に着けば、ここが単なるロビーラウンジではなく、大阪の社交の舞台であり続けてきた場所だと肌で分かります。
待ち合わせのお茶にも、買い物帰りの一服にも、季節のスイーツを目当てにした午後にも。宿泊しない日でも訪れる価値のある、街に開かれたホテルの心臓部です。

そのメインラウンジで供されるアフタヌーンティーは、大阪でも指折りの人気を誇る午後の楽しみです。季節ごとに主役の素材が変わるテーマ仕立てで、旬のフルーツを織り込んだスイーツとセイボリーがスタンドを彩ります。いま出会える内容は、公式サイトでの確認がおすすめです。
庭園の緑、シャンデリアの光、ティーカップの湯気。時間を忘れる、という言葉がこれほど似合う場所も多くありません。このホテルのアフタヌーンティーの世界は語るべきことが多いため、詳しくは稿を改めてご紹介します。
ビュッフェの昼と夜と、街がひとつ館内にあるレストランの陣容

ビュッフェレストラン「リモネ」は、ランチからディナーまで、好きなものを好きなだけ楽しめるビュッフェの舞台です。季節にはフルーツをテーマにしたフェアも催され、その時期だけの華やかなビュッフェ台が広がります。開催中のフェアは公式サイトで確認を。
友人と連れ立っての昼のごちそうに、家族の集まりの夜に。大型ホテルのビュッフェらしい選択肢の多さと、名門ホテルの丁寧な仕事が両立した、使い勝手のよいレストランです。

このホテルの食の陣容は、イタリアン、フレンチ、中国料理、鉄板焼・焼肉、バー、ラウンジ、カフェと、ジャンルの網羅性が街の一角に匹敵します。フレンチの正統を受け継ぐ「シャンボール」、中国料理の「皇家龍鳳」といった看板店に加え、和の名店の味にも館内で出会えるのが、この規模のホテルならではの贅沢です。
滞在中、一歩も外に出なくても食が完結する。それどころか、夜ごとに違う世界を旅できる。各店の営業内容やメニューは、公式サイトのレストラン一覧でぜひ確かめてみてください。
九十年分の夜が透けるバーと、ホテルの味を持ち帰れるグルメブティック

一日の終わりには、バーで静かな時間を。このホテルには、英国の陶芸家バーナード・リーチとのゆかりで知られ、長く大阪のバー文化を象徴してきた「リーチバー」の名が刻まれています。歴史あるバーの空気は、それ自体がこのホテルの物語の一部。営業状況や最新の店舗情報は、公式サイトでの確認をおすすめします。
グラスの向こうに、90年分の夜が透けて見える。そんな感傷にひたれるのも、時間を重ねたホテルだけの特権です。

館内のショッピングエリアには、ホテルメイドのパンやケーキ、惣菜などを扱う「グルメブティック メリッサ」、チョコレートの「ショコラブティック レクラ」、そしてソムリエたちが選んだ飲み頃の一本に出会えるワインショップ「ラ・カーヴ・ド・リーガ」が揃います。手土産を選ぶ地元の人々の姿は、このホテルが街の暮らしに根を張っている証拠です。
チェックアウトの前にひと巡りして、家に帰ってからもう一度、旅の味を。ホテルの愉しみが客室の外まで、そして旅の後まで続いていく設計です。
川辺の散歩から席に着く、ゆっくりの朝食

旅の朝は、「リモネ」から。シェフたちの手仕事が並ぶビュッフェ台を前に、ゆっくりと皿を重ねながら一日の予定を思い描く時間は、このホテルの朝のいちばんの楽しみです。朝の散歩で中之島の川沿いを歩いてから席に着けば、水辺の空気と温かな朝食が、心と身体を静かに目覚めさせてくれます。
クラブフロアに滞在するなら、23階のロイヤルラウンジで高層階の眺望とともに朝食を、という選択肢も。どちらの朝を選んでも、名門ホテルの丁寧な仕事が、一日の始まりを上質に整えてくれるはずです。朝を大切にしたい方は、宿泊予約の際に朝食付きプランを検討してみてください。
大阪駅から専用バスで水辺へ、アクセスの物語
このホテルの名物のひとつが、JR大阪駅とホテルを結ぶ無料シャトルバスです。乗り場は大阪駅西側の高架下で、桜橋口方面からのアクセスが便利。大きな荷物を抱えたままホームから乗り場へ、そしてバスに揺られてホテルの車寄せへ。乗り換えの緊張から解放される、旅の始まりにやさしい動線です。運行時刻や所要時間は道路事情等により変わるため、利用前に公式サイトの最新案内を確認しておくと安心です。
もうひとつの動線が、京阪中之島線「中之島」駅との地下直結。雨の日も、夏の日差しの強い日も、天候を気にせずホテルへたどり着けます。さらに、宿泊ゲスト専用のユニバーサル・スタジオ・ジャパン行き無料直通バスも公式サイトで案内されており、テーマパーク拠点としての実用性も十分。運行内容は変わる場合があるため、計画の際に公式サイトでご確認ください。
過ごし方|会員制プールとハレの日の宴の間、川辺で深く休むために

館内には、国内ホテル有数の規模を誇る開放的な室内プールを備えた会員制のフィットネス施設があり、クラブドクターによるメディカルチェックやトレーニングスタッフによる運動指導まで、本格的な健康サポートが受けられます。地元の人々が日々の健康を預ける場所が館内にあるという事実は、このホテルの「暮らしに近い」性格をよく表しています。
宿泊ゲストの利用条件については、公式サイトまたはホテルへの確認がおすすめです。旅先でも身体を整えたい方は、事前に問い合わせておくと安心です。
大小56を数える宴会場・会議室は、このホテルが「大阪の迎賓館」であることの物理的な証明です。国際会議から、結婚式、顔合わせ、ディナーショーまで。大阪の公式行事とハレの日を、90年にわたって引き受けてきた舞台裏がここにあります。

家族の節目にこのホテルを選ぶということは、その物語の系譜に連なるということ。ウエディングや会食を検討している方は、まず館内の空気を感じに、ラウンジのお茶から始めてみるのもよいと思います。
このホテルでの理想の過ごし方は、意外にもシンプルです。朝、中之島の川沿いを散歩する。遊歩道を渡る風、水面の光、まだ静かな美術館の佇まい。ホテルに戻ってビュッフェの朝食をゆっくりと取り、午後はメインラウンジで庭園を眺めながらお茶を。予定は、詰めない。
梅田までシャトルバスで出れば都会の熱気はすぐそこにあるのに、帰ってくる場所は水に囲まれた静けさの中。遠くへ行くことではなく、深く休むこと。90年のあいだ人々を迎え続けてきたこのホテルは、その価値を誰よりも知っているように思います。
旅の日程が決まったら|季節の席と、水辺の部屋を先に

迎賓館の系譜で深く休む滞在を選ぶなら、予約の起点は季節です。アフタヌーンティーの季節テーマが切り替わる時期や、卒業・成人・婚礼といったハレの日のシーズンは、館内が華やぐぶん予約も集中します。クラブフロアで空に近い居場所を持つか、川辺の窓辺を選ぶかも、日程が決まった時点で決めておくと安心です。
実務としてひとつ。メインラウンジのアフタヌーンティーと各レストランの席は、宿泊とは別枠の予約です。どこで宿泊を予約しても、席の確保はホテルへ直接済ませておくと、当日の時間をまるごと余白に使えます。会員でなくても予約はできますので、初めての方もそのままで。
予約は、楽天トラベル・一休・Yahoo!トラベルを横に並べて総額で見比べるのが確実です。同じ客室でも、掲載されるプランと総額が違ってくるためです。
- 楽天トラベルは楽天ポイントを貯めて使える
- 一休は上質な宿に絞った掲載とタイムセール(編集部おすすめ)
- Yahoo!トラベルはPayPayとの連携が持ち味
名門の館内が華やぐ日から、埋まっていきます。振舞い茶とピアノに迎えられる到着と、川辺の散歩から席に着く朝を思い描いたなら、新幹線の予約と一緒に、この中之島の一室を一休で先に押さえてしまいましょう。

結び|名門の、いちばん新しい季節に
歴史あるホテルに泊まる愉しみは、豪華さの消費ではなく、物語への参加です。1935年から続く迎賓の系譜。その最新の章が、ヴィニェット コレクションとして生まれ変わったいまの姿。伝統のメインラウンジでお茶を飲み、新しくなった客室で川辺の夜に眠る滞在は、大阪という街の過去と現在を一度に抱きしめるような体験になるはずです。
次の大阪で、どこに帰るか。答えはもう見えているのではないでしょうか。
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アクセス|リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション by IHG
京阪中之島線「中之島」駅とは地下で直結しており、雨に濡れずに館内へ入れます。JR大阪駅からは、駅西側の高架下(桜橋口方面が便利)から無料シャトルバスが運行。JR大阪環状線「福島」駅からは徒歩約15分、JR東西線「新福島」駅・阪神「福島」駅からは徒歩約8分ほどです。
車の場合は阪神高速の土佐堀出入口が近く、館内駐車場(有料)を利用できます。伊丹空港・関西国際空港からは、リムジンバスや電車で大阪駅へ出て、シャトルバスやタクシーに乗り継ぐのが分かりやすいルートです。
基本情報|リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション by IHG
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | リーガロイヤルホテル大阪 ヴィニェット コレクション by IHG |
| 所在地 | 〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島5-3-68 |
| 開業 | 1935年(新大阪ホテルとして)/2025年4月1日ヴィニェット コレクションとしてグランドオープン |
| 客室数 | 全1,001室(7タイプ) |
| 主な施設 | レストラン&バー(メインラウンジ、リモネほか)、ロイヤルラウンジ(クラブフロア宿泊者向け)、宴会場・会議室56室、会員制フィットネス施設(室内プール)、ショップ(グルメブティック メリッサほか) |
| 会員プログラム | IHGワンリワーズ/リーガメンバーズ |
| 駐車場 | あり(有料) |
※館内施設・客室・ダイニング等の情報は、ホテル公式サイトおよび公式発表に基づきます(2026年9月時点)。料金・営業時間・イベント開催日程・シャトルバスの運行内容は変更となる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。


