京都のプール付きホテル特集|洞窟と森、癒しの水辺へ

京都のプール付きホテル特集|洞窟と森、癒しの水辺へ

京都のホテルプールには、高層階からの夜景がありません。歴史ある街並みを守るこの都では、空へ伸びる水辺は、そもそも存在しえないのです。

けれど、だからこそ京都のプールは、ほかのどの街とも違う表情を持つことになりました。行き場を失った水辺は、地の底へ、そして山裾の森へと向かったのです。洞窟のような薄闇に湯気がたゆたう地下のサーマルプール。洛北の風と光にひらかれた、森のインフィニティプール。眺望の代わりに京都のプールが手に入れたのは、「内へ向かう癒し」という、この街の精神にどこまでも似合う個性でした。

今回の特集では、TIMELESSが実際に滞在し、身を沈めてきた京都のプール付きホテルをご案内します。どのプールにもサウナやスパ、温浴の設えが寄り添い、泳ぐことよりも、心身をほどくことのために在る水辺ばかり。

神社仏閣を巡る旅とはまったく別の、もうひとつの京都に出会う誌面として、ゆっくりめくっていただけたらうれしいです。

静寂の底へ|洞窟のような、地下の水辺

まずは、地の底へ。京都の地下には、光を絞った薄闇のなかで水だけが静かに輝く、洞窟のような水辺が眠っています。

HOTEL THE MITSUI KYOTO|この水辺のために、京都へ行きたくなる

HOTEL THE MITSUI KYOTOのサーマルスプリングSPA

二条城のほど近く、邸宅のようなホテルの地下に、この特集でもっとも深い闇と静寂をたたえた水辺があります。地下から湧き出る天然温泉を湛えたサーマルスプリングSPAは、重厚な自然石に囲まれた、まさに洞窟のような聖域。極限まで絞られた照明のなか、天井から降り注ぐミストが光の粒子を乱反射させ、現実と夢の狭間のような情景を描き出します。

仄暗さが他者の視線をやわらかく遠ざけてくれるから、人目を気にすることなく、湯にたゆたい、プールサイドのデイベッドに横になり、また湯へ戻る。その自由な回遊のなかで、時間の感覚が静かに溶けていきました。

正直に記せば、この水辺のためだけに京都を再訪したいと思えるほどの体験です。「没入」という言葉がこれほど似合う場所を、私はほかに知りません。

HOTEL THE MITSUI KYOTOのサーマルスプリングSPA体験|京都で神秘的なリラクゼーション

ザ・リッツ・カールトン京都|サウナと水辺が寄り添う、地下の聖域

ザ・リッツ・カールトン京都のプール

鴨川のほとりに佇むホテルの地下にも、洞窟のような癒しの空間が広がっています。屋内の温水プールは、京都の静けさをそのまま水に移したような佇まい。東山を巡り、石畳を歩き続けた一日の疲れを、やわらかな水がゆっくりとほどいてくれます。

うれしいのは、プールのすぐわきにサウナが設えられていること。温めて、泳いで、また温めて。水辺とサウナを行き来する回遊のなかで、心身が深いリラックスへと沈んでいきます。観光へ出かける前、京都の朝をこの地下の聖域で始めるのも素敵です。

ザ・リッツ・カールトン京都でプール体験|京都の静寂の底で自分を解き放つ

ヒルトン京都|薄闇に灯る、青いタイルの水鏡

ヒルトン京都のプール

2024年に開業したばかりのヒルトン京都。河原町という京都の中心にありながら、その地下一階には、街の喧騒から完全に切り離された水辺が息づいています。

スタイリッシュに設えられた薄暗い空間のなかで、ひときわ澄んだ光を放つのが、水底に敷き詰められた青いタイルです。絞られた照明の下、水そのものが内側から発光しているかのような美しさ。京都の町家の格子戸を思わせる光のラインが水面に映り込み、水がわずかに揺れるたび、光の柱もゆらりと揺らめきます。

泳ぐ手を止めて、ただこの水鏡を眺めている時間の、なんと満ち足りていること。開業間もない新しさと、深い落ち着きが同居する、京都らしい癒しの水辺でした。

ヒルトン京都のプール体験|地下に灯る、青いタイルの水辺で心をほどく

森とひらく|洛北の風と、サーマルプール

地の底の次は、山裾の森へ。京都のもうひとつの水辺は、街の北のはずれで、自然に向かって大きくひらかれています。

ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts|洛北のそよ風と、サーマルプールの相性

ROKU KYOTOのサーマルプール

京都の北、鷹峯の山裾に佇むROKU KYOTOのサーマルプールは、大自然のなかにひらかれた開放的な水面です。温かな湯に身を委ねながら、視界に入るのは空と森ばかり。頬を撫でていく洛北のそよ風と、サーマルプールの温もり。この組み合わせの心地よさは、実際に浸かった人にしか分からない種類のものだと思います。

地下の洞窟たちが「閉じる癒し」だとすれば、ここにあるのは「ひらく癒し」。インフィニティエッジの先に季節の彩りが広がる景色は、京都観光のどの名所とも違う、何もしない贅沢を教えてくれました。サウナ・スパとあわせて、一日をこの水辺だけで過ごしたくなるホテルです。

ROKU京都のサーマルプール|鷹ヶ峰の自然と一体になる至高のリトリート体験

いつか、身を沈めたい水辺|編集部の憧れリスト

京都には、まだ私たちが浸かっていない美しい水辺があります。ここからは、いつか必ず身を沈めたいと願っている、憧れのプールたちを。実際に滞在した折には、この誌面に体験の記憶を書き加えていくつもりです。

フォーシーズンズホテル京都|800年の庭園を抱くホテルの、20メートルの水辺

フォーシーズンズホテル京都のプール
出典:公式サイトより

東山の麓、平家物語にも記された池庭「積翠園」を抱くフォーシーズンズホテル京都。その地下に広がるスパ&ウェルネスフロアには、全長20メートルのインドアプールと、ふたつのジャグジーが設えられています。早朝と夜には大人専用の時間帯が設けられ、静かなプライベート空間に表情を変えるのだそう。800年の庭園を散策したあと、この水辺で一日を締めくくる——想像するだけで、心がしんと静まります。

シックスセンシズ 京都|眠りと癒しを科学する、ウェルネスの水辺

シックスセンシズ 京都のプール
出典:公式サイトより

2024年春、東山に開業した日本初のシックスセンシズ。禅の哲学と先進のウェルネスを融合させたこのホテルの屋内プールは、全長19メートル。そして特筆すべきは、水中ボディワーク「WATSU(ワッツ)」のための専用プールを備えていることです。セラピストに身を委ね、水の浮力のなかで心身をほどいていく——「浸かる」のさらに先へ進んだ水の癒しが、ここにはあるようです。

デュシタニ京都|タイの優雅が香る、天国の庭園

デュシタニ京都のプール
出典:公式サイトより

西本願寺の門前町に佇む、タイ発のラグジュアリーホテル。地下のウェルネスフロア「デバラナ ウェルネス」は、サンスクリット語で「天国の庭園」を意味する名を持ちます。ラウンジスペースを備えた屋内プールには、タイの高級リゾートでは定番というハイドロジェットやハイドロファウンテンが設えられ、水流が全身をほぐしてくれるのだそう。京都にいながらタイのリトリートに浸る——そんな旅の妄想が、静かにふくらみます。

結び|今日のあなたは、底か、森か

温泉を利用した心地よい空間

京都のプールに、夜景はありません。けれど、この街の水辺で過ごしてきた時間を振り返ると、眺望の代わりに手にしたものの豊かさに、あらためて気づかされます。

誰の視線も届かない薄闇に沈みたい日は、静寂の底へ。風と森に心をひらきたい日は、洛北へ。神社仏閣を巡る京都もかけがえのないものですが、水辺から組み立てる京都の旅には、また別の深さがあります。

それぞれの水辺で過ごした時間は、各ホテルの体験レビューで、写真とともに詳しく紐解いています。次の京都で、あなたの滞在の記憶に、静かな水面が残りますように。

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