海抜38メートルの露天風呂から、水平線ごと朝日を。
本州最南端の町、串本。太平洋を見下ろす海抜約38mの高台に建つのが、メルキュール和歌山串本リゾート&スパです。海側の客室からは名勝・橋杭岩と紀伊大島、そして太平洋が一望でき、4月から9月にかけては水平線から昇る朝日を望めます。2024年、アコーのメルキュールとして生まれ変わりました。
公式が掲げるのは「ゆっくり自分を見つめる時間、大人のためのシーサイドリゾート」。夕食も朝食も、ラウンジのお酒も温泉も含まれた滞在を、私が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在して感じたブランドの空気に、公式情報と滞在した人々の声を重ねながら、ひとつずつ紐解いていきます。
遠くまで来た、という事実だけで休める場所

大阪からも名古屋からも、串本は簡単な距離ではありません。特急で3時間前後、車でも半日近く。けれど、その遠さこそがこの滞在の効きどころだと思います。
半端な距離の旅先では、心のどこかで日常とつながったままになります。ここまで来てしまえば、戻れないぶん、気持ちが完全に切り替わる。本州最南端という言葉には、そういう作用があります。
滞在はオールインクルーシブのプランを軸としていて、宿泊料金のなかに夕食と朝食、ラウンジでのドリンクやおつまみ、温泉、館内のアクティビティが含まれています。到着してからは、決めることがほとんど残りません。
含まれる範囲は予約するプランによって変わりますので、内容を確かめてから選ばれると安心です。遠くまで来た日ほど、その先で何も考えなくていいことの価値は大きくなります。
「串本ロイヤルホテル」から数えて、三つめの名前

この高台には歴史があります。かつては串本ロイヤルホテルとして南紀串本観光ガイドにも紹介され、その後ホテル&リゾーツ 和歌山串本として長く親しまれてきました。
そして2024年、アコーのメルキュールとして三つめの名前を得ています。公式サイトには開業2周年の記念プランが並び、新しい名前での時間が着実に重なっているところです。
橋杭岩を望む高さも、太平洋の広さも、以前のままです。変わったのは、到着してからの過ごし方のほうでした。
海中に850メートル、40余りの岩柱が並ぶ景色のそばで

ホテルの下に広がるのは、国の名勝天然記念物・橋杭岩です。串本から紀伊大島へ向かって海中におよそ850mの列をなし、大小40余りの岩柱がそそり立っています。海の浸食で橋の杭だけが残ったように見えることから、その名がつきました。
車を走らせれば、南紀の風景が次々に現れます。潮岬、樫野埼灯台、古座川の一枚岩、南紀熊野ジオパーク。那智勝浦までは車でおよそ40分ですから、熊野三山まで足を延ばす拠点にもなります。
夏には橋杭海水浴場が車でおよそ5分。秋には周辺の紅葉、春には七川ダム湖畔の桜。季節ごとに理由がある土地です。
近ごろの串本には、もうひとつの顔もあります。ロケットの発射場を持つ町として知られるようになったこと。夏のホテルには、その町らしい朝の体操プログラムが登場したこともありました。
36㎡以上、海に向かって開く客室

客室はCLASSICのひと系統で、いずれも36㎡以上のゆとりがあります。旅の荷物を広げても余白が残る広さで、連泊するほどその効き目がはっきりしてきます。
眺望を重視するなら、海側の客室を。橋杭岩と紀伊大島、そして太平洋が視界に収まり、季節によっては水平線から昇る朝日をベッドから眺められます。高層階を確約するコンフォートルームの案内も公式サイトに出ていますので、高さにこだわる方はプランの内容を確認してみてください。
アメニティはヘアーブラシ、コットンセット、歯ブラシ、カミソリが客室に用意されています。細かなことですが、部屋に上がってから取りに戻らなくていいのは、疲れて着いた夜には案外ありがたい設計です。
上級客室の特典ではなく、全員に開かれたラウンジ

ラウンジは、上のカテゴリーを選んだ人だけのものになりがちです。予約の段階で「使えるかどうか」を気にしなければならないのは、それだけで小さなストレスになります。
このホテルでは、全客室にラウンジアクセスが付きます。スパークリングワインやビールといったお酒、コーヒーや紅茶、ハーブウォーターなどのソフトドリンク、そしておつまみを、どの部屋に泊まっても楽しめるという意味です。
夜には屋外のテラス側も表情を変えます。潮風のなかでグラスを持って、水平線が暗くなっていくのを見ている時間。決めることが何もない夕方の使い道として、これ以上のものはなかなかありません。
私が沖縄・残波岬の同ブランドでエグゼクティブラウンジを体験した際も、このラウンジの時間こそがブランドの真ん中にある贅沢だと感じました。何を飲むかより、何も考えずに座っていられること。それがもてなしの本体です。

朝日百選の日の出を、湯に浸かったまま

海辺で一日を過ごすと、思っている以上に体は疲れています。日差しと潮風は、静かに体力を削っていくからです。
この宿の温泉露天風呂からは、名勝・橋杭岩と紀伊大島、そして太平洋が一望できます。南紀串本観光ガイドが伝えるとおり、日本の朝日百選に選ばれた日の出を湯に浸かったまま迎えられるのが、この高台の最大の贅沢です。
夜は星空、朝は水平線。同じ湯船が、時間帯によってまったく違う場所になります。営業時間については公式サイトで変更の案内が出ることがありますので、朝日の時刻に合わせたい方は最新の情報を確認してから向かってください。
太平洋を正面に置いた、夏だけの水面

夏のあいだ、ホテルには海の見えるガーデンプールが開きます。プールサイドの向こうに太平洋の水平線がそのまま続いていて、南紀の風が抜けていく場所です。
営業は夏休みの期間に限られます。年ごとに日程が変わりますので、夏の滞在を計画される場合は公式サイトで最新の案内を確認してから予定を決めてください。
プールの季節を外しても、海そのものは一年中そこにあります。秋の澄んだ空気のなかで見る橋杭岩、冬の水平線。むしろ静かな季節のほうが、この宿の「大人のためのシーサイドリゾート」という性格には合っているのかもしれません。
黒潮の海の旬を、選びながら食べていく夜

夕食は1階のレストラン「Locavore」でのビュッフェです。黒潮が運ぶ海の幸を軸に、地元の食材を使った料理が並びます。アルコールを含むドリンクも料金に含まれていますので、南紀の味に合わせて一杯を選べます。
ビュッフェのいいところは、迷わなくていいことだと思います。少しずつ試して、気に入ったものだけ取りに戻る。コースのように出てくる順番に身を委ねる必要がありません。
営業は夕方から夜にかけて。混雑を避けたい方は、早めの時間帯に向かうのが確実です。
起きたら海がある、という朝食

朝食も同じレストランです。7時から9時30分まで(最終入場9時)で、4月から9月にかけては水平線から朝日が昇る時間帯と重なります。
前の晩に何も決めていないというのは、朝にこそ効いてきます。起きて、露天風呂で朝日を見て、そのまま食事へ。判断らしい判断は、二杯目のコーヒーを飲むかどうかだけです。
チェックアウトは11時ですから、朝食のあとにもう少し海を眺める時間も残ります。急いで発たなくていい朝が、この距離まで来た旅の締めくくりにはふさわしいと思います。
車がなくても、自転車があっても組み立てられる
串本駅からホテルまでは徒歩でおよそ15分(約1.4km)。歩けない距離ではありませんが、無料の送迎バスが運行しています。駅の改札は1か所で、外へ出て横断歩道を渡ったところにある船の銅像の前が乗り場です。所要はおよそ5分で、予約は不要。ただし午前の早い便は、利用者がいない場合に運休となることがあります。
車で来る方には、屋外の無料駐車場が198台分。障がい者用が3台、電気自動車の充電用が3台用意されています。利用は先着順で、事前予約は受け付けていません。
自転車で南紀を走る方への配慮もあります。屋根付きの駐輪スペースはありませんが、自転車は客室内に持ち込めるという案内が公式に出ています。海沿いを走る旅の拠点として、この一点はかなり効きます。
館内には1階の大浴場前にコインランドリーがあり、連泊でも荷物を増やさずに済みます。ランチの提供はありませんので、到着日の昼食は道中で済ませておくのが実務的なコツです。
旅の日程が決まったら

このホテルはアコーが展開するメルキュールブランドの一軒です。アコーには「ALL – Accor Live Limitless」という会員プログラムがあり、入会は無料。滞在でポイントが貯まりますので、和歌山や紀伊半島のアコー系ホテルを続けて訪ねる方は登録しておくと無駄がありません。
会員プログラムには入らず、今回の一泊を総額で選びたい場合は、予約プラットフォームの使い分けが効いてきます。同じ客室でも、掲載されるプランと総額が違ってくるためです。
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普段お使いのポイント経済圏に合わせるのがいちばん無駄がありません。三つを横に並べて、総額で見比べるのが確実です。
夏のプールの季節と、朝日がいちばん美しい時期。海側の客室は数が限られますので、眺望にこだわるほど早く決まっていきます。日程が固まったら、その日のうちに。

結び|遠くまで来た日の、何も決めない二日間を
串本は、思い立ってすぐ行ける場所ではありません。特急に長く揺られ、あるいは海沿いの国道を延々と走って、ようやくたどり着く土地です。
だからこそ、着いたあとに考えることが何も残っていないというのは、この距離にふさわしい設計だと思います。夕食も、湯も、寝る前の一杯も、すでに決着している。
海抜38メートルの露天風呂で水平線から昇る朝日を見て、橋杭岩の岩柱を数えながら朝食へ向かう。そんな二日間を過ごしたあと、体がどうなっているか。答えはもう見えているのではないでしょうか。

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アクセス|メルキュール和歌山串本リゾート&スパ
電車の場合、JR京都駅から新大阪・天王寺を経てJR紀勢本線の特急でおよそ2時間40分、串本駅に着きます。JR名古屋駅からは紀伊勝浦経由で特急を乗り継ぎ、およそ4時間。関西国際空港からはリムジンバスでJR和歌山駅へおよそ40分、そこから特急でおよそ2時間です。
南紀白浜空港からはリムジンバスでJR串本駅へおよそ70分。ホテルの送迎バスに接続できる便もありますので、飛行機で向かう場合はこの経路がもっとも身軽です。
串本駅からホテルまでは徒歩でおよそ15分(約1.4km)。無料の送迎バスなら所要およそ5分で、予約は不要です。乗り場は駅を出て横断歩道を渡ったところ、船の銅像の前になります。午前の早い便は利用者がいない場合に運休することがありますので、出発時刻は到着時に確認しておくと確実です。
車の場合は阪和自動車道からすさみ南ICを降り、国道42号線をおよそ35分(約25km)です。南紀白浜からはおよそ60分、那智勝浦からはおよそ40分の距離になります。
駐車場は屋外に198台で無料。うち障がい者用が3台、電気自動車の充電用が3台です。利用は先着順で、事前予約は受け付けていません。
基本情報|メルキュール和歌山串本リゾート&スパ

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | メルキュール和歌山串本リゾート&スパ |
| 所在地 | 〒649-3510 和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台1184-10 |
| 電話番号 | 0735-62-7771 |
| チェックイン/アウト | 15:00/11:00(プランにより異なる場合あり) |
| 客室 | CLASSIC・36㎡以上(海側客室から橋杭岩・紀伊大島・太平洋/高層階確約のコンフォートルームあり) |
| ラウンジ | 全客室にラウンジアクセス付(スパークリングワイン・ビール・コーヒー・紅茶・ハーブウォーター・おつまみ) |
| 食事 | 1階 レストラン「Locavore」/朝食ビュッフェ 7:00〜9:30(最終入場9:00)・夕食ビュッフェ 17:30〜21:00(最終入場20:30)/ランチの提供なし |
| 温泉 | 温泉露天風呂(橋杭岩・紀伊大島・太平洋を一望/日本の朝日百選の日の出)・大浴場/営業時間は変更の案内が出る場合あり |
| プール | ガーデンプール(夏休み期間のみの営業) |
| 館内設備 | コインランドリー(1階大浴場前)、ショップ、宴会場・会議室/自転車は客室内へ持ち込み可(屋根付き駐輪場なし) |
| 駐車場 | 屋外198台・無料(障がい者用3台/電気自動車充電用3台・先着順・事前予約不可) |
| 送迎バス | 串本駅⇔ホテル・無料・予約不要・所要約5分(午前の早い便は利用者がない場合に運休) |
| アクセス | 串本駅から徒歩約15分(約1.4km)/すさみ南ICから国道42号線約35分(約25km)/南紀白浜から車約60分・那智勝浦から車約40分 |
| 会員プログラム | ALL – Accor Live Limitless(入会無料) |
> ※メルキュールのブランド体験に関する記述は、筆者が同ブランドのグランドメルキュール沖縄残波岬リゾートに滞在した際の内容にもとづきます。当ホテルの館内施設・客室・ダイニング等の情報は、ホテル公式サイトおよび公式発表に基づきます(2026年8月時点)。料金・営業時間・イベント開催日程は変更となる場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

