雅叙園東京|目を覚ました百段階段の宿。営業再開からLXRへ、目黒の美術館ホテルの新章

雅叙園東京|目を覚ました百段階段の宿。営業再開からLXRへ、目黒の美術館ホテルの新章

100年の記憶を抱いたまま。——閉ざされていた扉の向こうで、いま、静かに次の物語が始まっている。

目黒駅の西口から坂を下ること、およそ3分。行人坂の途中に、豪奢な門がひらいています。雅叙園(がじょえん)東京——1928年の創業以来、「芝浦雅叙園」「目黒雅叙園」「ホテル雅叙園東京」と名を変えながら、約100年にわたり日本の美とおもてなしを受け継いできた一軒です。

2025年10月から改修のため休館していましたが、2026年7月27日、「雅叙園東京」として営業を再開しました。客室は全60室、そのすべてが70平米以上。そして2026年末には、ヒルトンの最高峰ブランドのひとつ「雅叙園東京 LXRホテルズ&リゾーツ」としての開業が予定されています。

——2,500点を超える日本美術に囲まれて、美術館に暮らすように眠る。そんな滞在を叶えてくれる一軒を、公式情報と、同じLXRブランドの姉妹ホテル「ROKU KYOTO」に滞在した体験をもとに、ひとつずつ紐解いていきます。

美術館に暮らす、という宿の選び方

雅叙園東京の館内には、2,500点を超える日本美術が展示されています。廊下を歩けば日本画、天井を見上げれば意匠、エレベーターの扉にまで美が宿る。ホテルというより「泊まれる美術館」と呼ぶほうが実感に近い空間です。創業者が「訪れるすべての人に美を」と築き上げた昭和の美意識が、約100年の時を経てなお、館の隅々で息づいています。

そしていま、この宿を選ぶ理由がもうひとつ加わりました。再開業から、LXRとしての全面開業へ——歴史あるホテルが新しい章をひらく「移行期のいま」に立ち会えるということです。受け継がれてきた美はそのままに、世界基準のラグジュアリーが重なっていく過程を、宿泊者として見届ける。何度も泊まってきた人にも、初めての人にも、いまの雅叙園は特別なタイミングにあります。

休館から再開、そして新章へ。「閉館」ではありません

「雅叙園は閉館したの?」——検索でそう心配する声が多いようですが、答えははっきりしています。閉館ではなく、新章への準備でした。2025年10月1日から改修のため一時休館していた旧・ホテル雅叙園東京は、2026年7月27日に「雅叙園東京」として営業を再開。宿泊と、館内レストランのうち4店舗の営業が始まっています。

そしてこの再開は、序章にすぎません。今後、客室の改装やフィットネスジムの新設などを経て、2026年末には「雅叙園東京 LXRホテルズ&リゾーツ」としての開業が予定されています。約100年の歴史と日本の美意識はそのままに、ヒルトンのラグジュアリーブランドのホスピタリティが重なる——目黒の名門は、閉じたのではなく、より大きく開こうとしています。移行期のため、施設やサービスの内容は段階的に変わっていく可能性があります。訪れる前には公式サイトの最新案内を確認しておくと安心です。

東京都指定有形文化財の百段階段を、館内に抱く宿

雅叙園東京を語るうえで欠かせないのが、「百段階段」です。館内に現存する唯一の木造建築であり、東京都指定有形文化財。99段の階段廊下に沿って連なる部屋の天井や欄間には、昭和の画家たちの手による絵画が広がり、一段のぼるごとに時代を遡るような感覚に包まれます。

これまでも季節ごとの企画展の舞台として親しまれ、灯りの催しなどが目黒の風物詩になってきました。現在の公開状況や催しの予定は時期により異なるため、滞在の計画に合わせて公式サイトでご確認ください。文化財を「見学する」のではなく、その文化財を抱く宿に「泊まる」。この体験ができるホテルは、東京広しといえども他にありません。

茶室に見立てられた客室で、美の中に暮らす

再開した雅叙園東京の客室は、全60室。そのすべてが70平米以上というゆとりで、都内のホテルでも指折りの水準です。設えの発想は「茶室」。柿渋染めや西陣織、日本画といった伝統の手仕事が織り込まれた空間は、華美ではなく、静けさの中に美が沈んでいるような佇まいです。

窓の外には目黒の杜。都心にいながら、喧騒から一枚も二枚も隔てられた静寂が、この立地の財産です。美術品の廊下を歩いて部屋に帰り、扉を閉めれば茶室の静けさ。「泊まれる美術館」の夜は、思いのほか深く眠れるはずです。

レジデンシャルの最上級、雅叙園スイートという指名

60室の頂点に立つのが、240平米の「雅叙園スイート」です。リビングやダイニングを備えたレジデンシャルスタイルの造りは、ホテルの一室というより邸宅そのもの。ハレの日の集まりに、人生の節目の滞在に、約100年の美意識を独り占めする舞台が用意されています。

60室という規模は、大型ホテルの華やぎとは別の価値を持ちます。一室一室に行き届く静けさと、パーソナルなもてなし。LXRという少数精鋭ブランドの器として、この宿が選ばれた理由が、部屋数にも表れています。

ROKU KYOTOで体験したもてなしが、LXRとして東京へ

ROKU京都

「雅叙園東京 LXRホテルズ&リゾーツ」は、2021年開業の「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」に続く国内2軒目のLXRであり、東京初進出となります。LXRはヒルトンの中でも、その土地の物語に深く根ざした独立性の高いラグジュアリーを掲げるブランド。国内では広島や箱根強羅、北海道・ニセコでも開業が予定されており、雅叙園はその東京の顔になります。

私は京都・鷹峯のROKU KYOTO, LXR Hotels & Resortsに滞在したことがあります。印象に残っているのは、豪華さを誇示しない静けさと、一人ひとりの過ごし方に寄り添うきめ細やかなもてなしでした。土地の自然や文化を滞在の中心に据えるあの流儀が、2,500点の美術と百段階段を抱くこの宿と出会ったら——LXRと雅叙園は、ブランドと物件の相性という意味で、これ以上ないほど幸福な組み合わせだと感じています。

夜も午後も館内で完結する、再開したダイニング

営業再開とともに、館内レストランのうち4店舗が食卓を整えています。中国料理「旬遊紀」、囲炉裏の設えで知られる日本料理「渡風亭」、そして開放的なグリルダイニング「カナデテラス」。日本庭園の緑を望みながらの食事は、休館前から変わらぬ雅叙園の楽しみです。

各店の営業日・営業時間は移行期のため変則的な場合があります。ランチやディナーを目当てに訪れるなら、事前に公式サイトで最新の営業案内を確認し、席を予約しておくのが確実です。雅叙園名物のアフタヌーンティーやラウンジの詳しい楽しみ方については、営業体制が整った頃に、稿を改めてじっくりとご紹介するつもりです。

美術品の廊下を歩いて向かう、朝の食卓

雅叙園の朝は、静かです。宴やイベントで賑わう日中とは違い、朝の館内は宿泊者だけのもの。美術品の廊下をゆっくり歩いて朝食会場へ向かう時間そのものが、この宿ならではの序章になります。

朝食の会場や提供内容は、移行期のため変更となる場合があります。最新の情報は公式サイトでご確認のうえ、宿泊予約の際に朝食付きプランを検討してみてください。目黒川沿いの朝散歩と組み合わせれば、都心とは思えない澄んだ朝が完成します。

行人坂の上下に物語が広がる、目黒の歩き方

雅叙園東京の立地は、散歩の宝庫です。ホテルのすぐ隣には行人坂の大圓寺(約200メートル)、歩いて数分で目黒川(約300メートル)。春には川沿いの桜が東京屈指の景色をつくります。少し足を延ばせば、目黒のお不動さんこと目黒不動尊や大鳥神社、目黒区美術館、そして緑深い自然教育園まで。江戸の門前町の記憶と、現代の目黒カルチャーが、坂の上下に折り重なっています。

そして館に帰れば、約100年の美術と庭園。雅叙園は長らく、結婚式やお祝いの席の殿堂として、東京の家族のハレの日の記憶を刻んできた場所でもあります。街を歩き、美術に還る。その往復が、この宿の過ごし方の基本形です。

旅の日程が決まったら|オナーズと一枚のカードを味方に

まず正直にお伝えしておきたいことがあります。ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン(HPCJ)の公式サイトには雅叙園東京の案内ページが用意されているものの、移行期の現在、会員予約サイトでは割引プランの取り扱いが確認できない状態です(2026年8月時点)。

LXRとしての開業に向けて販売体制が整っていく可能性はありますが、現時点でHPCJの25%OFFを前提にした計画は立てないほうが確実です。当面の基本の型は、ヒルトン・オナーズに登録し、公式サイトの会員料金で予約すること。HPCJでの取り扱いが始まり次第、この記事でも追記してお知らせします。

なお、国内のほかのヒルトングループではHPCJの25%OFFが変わらず力を発揮します。ヒルトンの旅を重ねる方は、仕組みそのものを知っておいて損はありません。

ヒルトンが常に25%OFF。私がHPCJ(ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン)を手放さない理由

あわせて力を発揮するのが、ヒルトン・オナーズ・アメリカン・エキスプレス・カード。保有しているだけでヒルトン・オナーズのゴールドステータスが付与されます。ステータスごとの特典がこのホテルでどう適用されるかは移行期のため変わる可能性がありますが、ROKU KYOTO、そして雅叙園東京と、LXRの世界が国内に広がっていくこれからは、この一枚の活きる場面がますます増えていきます。最新の特典条件は公式サイトでご確認ください。

ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・カード特集

今回の滞在を総額で選ぶのであれば、予約プラットフォームの使い分けも効いてきます。同じ客室でも、楽天トラベル・一休・Yahoo!トラベルでは掲載されるプランと総額が違ってくるためです。

  • 楽天トラベルは楽天ポイントを貯めて使える
  • 一休は上質な宿に絞った掲載とタイムセール(編集部おすすめ)
  • Yahoo!トラベルはPayPayとの連携が持ち味

そして席と部屋の確保はお早めに。全60室という規模のうえ、再開業の話題性で注目が集まっている時期です。記念日や桜の季節(目黒川沿いは都内屈指の混雑期)の計画は、日程が見えたら早めに動くのが安心。レストランの席も、移行期の営業体制を公式サイトで確認しながら、宿泊と同時に押さえておきましょう。全60室の宿は、埋まるときは一晩で埋まります。日程が固まったら、その日のうちに。

結び|約100年の美が、次の100年へ

芝浦に生まれ、目黒に根を下ろし、約100年。雅叙園はいつの時代も、「美とともに過ごす特別な一日」を東京の人々に届けてきました。休館という静かな時間を経て、いままた扉をひらいたこの宿は、LXRという新しい名を得て、次の100年へ歩き出そうとしています。

百段階段の絵天井、2,500点の美術、茶室のような70平米。その全部を、移行期のいまだからこその静けさの中で味わえるとしたら。次の東京ステイの答えは、もう見えているのではないでしょうか。

もっと深く知る

アクセス|雅叙園東京

雅叙園東京へは、JR山手線・目黒駅の西口から徒歩約3分。東急目黒線・東京メトロ南北線・都営三田線の目黒駅からも同じく徒歩3分ほどで、行人坂を下った先に招きの門が見えてきます。羽田空港からは約13.5キロメートルと、空の玄関からのアクセスも良好です。

お車の場合は、屋根付きのセルフパーキングを1日2,800円で利用できます(入出庫自由ではない運用のため、外出の多い旅程の場合はご注意ください)。目黒川沿いの桜の季節は周辺道路が混み合うため、電車でのアクセスがおすすめです。

基本情報|雅叙園東京

雅叙園東京|目を覚ました百段階段の宿。営業再開からLXRへ、目黒の美術館ホテルの新章
項目内容
名称雅叙園東京(2026年末に「雅叙園東京 LXRホテルズ&リゾーツ」として開業予定)
所在地〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-8-1
営業再開2026年7月27日(創業1928年・2025年10月から改修のため一時休館)
客室全60室(全室70平米以上・最上級は240平米の雅叙園スイート)
ダイニング中国料理「旬遊紀」、日本料理「渡風亭」、「カナデテラス」ほか(営業再開済みは4店舗・営業日時は公式サイト参照)
文化財百段階段(東京都指定有形文化財・館内現存唯一の木造建築)
子ども12歳以下は添い寝無料(13歳以上は大人料金)
ペット同伴不可
駐車場セルフパーキング1日2,800円(屋根付き・入出庫自由なし)
ブランドヒルトン(LXRホテルズ&リゾーツへ移行予定・ヒルトン・オナーズ対象。HPCJは案内ページのみで割引プランは2026年8月時点で確認できず)

※本記事は営業再開直後の移行期の情報として、ホテル公式サイト・ヒルトン公式発表・HPCJ公式ページに基づき構成しています(2026年8月時点)。施設・サービス・営業体制は段階的に変わる可能性があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。なお筆者は同じLXRブランドのROKU KYOTOに滞在した体験をもとに、ブランドのホスピタリティについて記述しています。

参考になったらシェアしてください!